「御使とジョイ」第3話あらすじと感想
世子との思い出
イオンと世子(お世継ぎ様)はちっちゃな子供時代から一緒に遊んだりいたずらして本当の兄弟のように育ちました。臣下がいない場所では兄さん、弟と呼び合います。ある日青年になった世子は刀でいきなりイオンを斬りつけます。「何をなさるんでか?」「剣を持て!」「私にとって刃物は料理の道具です。」「剣を使えんとお前やお前の大切な人たちを守る事ができん。」
時は移って清国との戦争時代。弁髪頭の武人がイオンを殺そうとします。間一髪で世子(イジュンヒョク)がやってきてイオンを救います。世子は自分を守る護衛兵たちを分けてイオンに配備します。「なりません。それでは世子様の身に危険が及びます。」「私の弟の命は私の命に等しい。」
(世子を演じているのは「秘密の森」の悪徳先輩検事ですね。)
朝鮮は清国との戦にやぶれ世子は9年間人質として過ごし戻ってきます。帰国して世子が最初にあった人間もイオンでした。イオンの生きる目標は兄と慕う世子を助ける事がすべてでした。しかし帰国してまもなく世子は亡くなります。そしてイオンは目標を失い政治に興味をもたなくなります。
飴と鞭
野外楼閣で妓生たちをはべらせて悪友たちと酒を酌み交わす筆頭老中パクスンの庶子パクテソ。悪友たちは灰吹法で銀を取り出す事に成功したとしておだてまくり、パクテソもいい気になっています。そこにスタスタと早歩きでやってきたパクスンがいきなり頬を思いっきり引っ張たきます。テソの頬には手形がくっきり。「つまらん奴らとつるんでいい気になりおって。お前みたいな奴は死んだほうがいい。」
テソを庭に連れて行きます。パクスンは隠密の死体をきちんと処理できなかった事、あとから来た隠密がそれに気づいて調査し都に報告しようとしている事を責めます。「忠清道にいながらお前はいったい何をやっておる!」
「息子よ。父親を失望させるな。」「父」と「息子」はテソのマジックワードです。テソは本妻から生れた子ではない婚外子なので父の愛に飢える強烈なファザコン野郎。彼の生きる目的は父親に認められる事。「父」や「息子」 という単語で刺激すれば何でもやります。一方パクスンは心の中でテソなど子供として認めてておりません。だが抱えておけば便利なので時々マジックワードでカツを入れたりあやしたりしてコントロールします。真の悪党です。
「父」から「息子」と呼ばれ元気10倍になったテソはイオンたち新隠密を見つけ出して殺せと命じます。
捕物帳
役場でイオンは地方役場官長を隠密暗殺の罪で糾弾し牢獄に入れろと指示します。その瞬間屋根上に潜んでいた刺客が弓を放ち官長を射殺してしまいます。「あやつを捕まえろ」
町のほうに逃げる刺客。「町に兵をたくさん送ってはなりません。今日は市が立つ日です。人が大勢いますのでけが人がでます。町に行く道をふさぐのです。町中への追跡は少人数がよろしいです。(ジョイ)」「あいわかった。案内せい!」馬に乗ったイオンが手を差し出します。「えっ?」ジョイの手をつかんで引き上げて後部に乗せてタンデムライド。ジョイは少し胸キュンします。
町に行くと旅芸人たちが踊りを披露しています。一人一人の靴を注意深く観察するジョイ。一人だけ違う色の靴を履いている男を見つけ睨めつけると男はジョイめがけて弓を放ちます。
本で弓を受け止めジョイをかばうイオン。ジョイ再び胸キュン。追っかける兵隊たち。刺客はサーカス団員のように器用に屋根伝いを飛び回ります。 「官吏様あれを!」刺客の動きを予想して屋根の横にある竹のやぐらを指さします。(頭の回転が恐ろしく速いです。)「うむ。」となりの兵隊から弓を拝借してキリキリキリ。刺客がやぐらへとジャンプした瞬間竹と竹をつなぐ縄を射抜きます。やぐらは崩れ落ち刺客はセーフランディングに失敗。地面にたたきつけられ捕獲されます。
後悔したくない
弓技をかっこよく決めたイオンであったが何事もなかったかのようにジョイに振り向き「けがはなかったか?」といたわります。イオンはジョイのおかげでけが人を出さず刺客を生け捕りにできたと謝意を表します。ジョイはイオンが自分の新しい人生を開いてくれたので礼を言うのは自分だと返します。「いや。そうではない。お前が自分の力で勝ち取ったのだ。その勇気が。」再び胸キュン。
刺客捕獲で都から報奨金が出ると伝えますがジョイは辞退します。「なんかそれをもらってしまえば後悔しそうで。私が夫と別れたのは悔い泣き人生を送りたいがためです。悔いを残したくありません。」
その代わりジョイはポリの盛り土お墓を作ってもらうようイオンに頼みます。
神の一手
取調室で刺客の前に立つイオン。彼は首に大きな傷跡がある。どうやら声帯を切られて声を出せないようだ。イオンは彼に捕まった以上主人の所に戻っても殺されるしかないといい協力しないかと呼びかけます。イオンの優しい口調が効き目があったのか少し動揺を見せる刺客。
役死体検査員は刺客が持っている弓からトリカブトが検出されたと報告します。
イオンの認識ではトリカブトは薬の一種。しかし多量服用で毒になると教えられます。トリカブトの栽培は一般には認められておらず宮の独占。そして薬と称して世子がトリカブトをコンスタントに飲まされていた事を思い出します。
「ここ忠清道に導かれたのは神の一手だな。この男の背後にいる奴らをかならず突き止める。」どうやらイオンは人生の目標を世子を殺した人間たちを突き止める事にリセットしたようです。
「この男は任せる。この人間を襲う人間が出てくるかもしれん。用心してくれ。」「出発なされるのですか?(役人)」「隠密が身分を明かして同じ場所に留まっていれば仕事にならん。」
旅立ち
ジョイは今まで夫、姑と一緒に暮らしていた家を出ます。出る際に家の自造酒のカメを全部割ってしまいます。嫌がらせではありません。姑の体を心配しての事。いびられたり牛馬のごとくこき使われましたがこの嫁と姑の相性はいいみたいです。自分がため込んだ大金を姑に差し出すジョイ。「いつの間にこんな大金を?」これでお酒を買ったらだめですよ。もっと年老いて病気になった時のためのお金です。あの人はあてになりませんから。姑はいかないでおくれよと頼みますがジョイは振り切って出て行きます。(結局ジョイは博打以外なにもしない夫が嫌だったんですね。)
ジョイが目指すのは漢陽(ソウル)。縫物が上手なので貴族夫人たちの服を仕立てたり直したりして生計を立てようと考えている。だが本当の目的は清国との戦争が終わった際にかの国に連れていかれた母親の行方の手がかりをつかむ事。
イオンたちに別れを告げに役所に行くとすでに旅立った後。イオンはポリのお墓を示すマップを置いて行った。ポリの墓に行く途中元旦那(チョジンス)が悪友たち二人を連れて待ち伏せていた。痛い目にあわせるつもり。だがジョイは護身用の木の棒で簡単にやっつけてしまう。
先を進むと親友たちが見送ってくれた。村の女性達は皆ジョイの生き方に好意的。村のおばあさんがのうぜんかずらの種を餞別にくれた。「のうせんかずらの花言葉を知っているかい?名誉だよ。世間にまけるんじゃないよ。」
ポリのお墓に立ち寄るジョイ。海が見える丘。ポリが縫い合わせた子供服を土に埋めます。体は役人が持って行ってしまったので魂を置いて行きます。
森の祠(ほこら)
森の中を歩くイオン三銃士。昼間はイオン特製の米をつぶして作ったきりたんぽと柿と柿の種をつぶしたソースでグルメを楽しむが夜になると道がわからなくなる。この辺は虎が出るとすこしビビり気味。
ジョイも森の獣道を歩いているが道がわからなくなる。しかしろうそくの火がともされた祠(ほこら)を発見。すこし雰囲気があやしいが夜動き回るのは危険と判断しここで一泊する事を決める。
3人が森の闇をさまよっていると祠のろうそくの火を発見。「助かった」と叫び光に向かって走っていく。祠の前でイオンがすっころびます。それに気づいて目が覚めるジョイ。
「捨妾」
「何故お前がここに?」「官吏様こそ何故?」すこし沈黙。
にんまり笑うイオン。「ははぁ。お前あれだな。捨妾。」
「?????」
「 捨妾とは朝鮮古来からある制度で離縁したおなごが祠の前で待機して最初に出会った男子と婚姻する事だ。男子が未婚なら正妻、既婚なら妾となる。 」イオンはどうでもいいトリビアを助さんと格さんに披露します。(ちなみに第三話のタイトルは 「捨妾」 )
「という事はつまりその。。。」
はっとお互いを見合わせるイオンとジョイ。二人ともムキになって否定します。
イオンは世の中で一番嫌いな物が結婚と科挙(公務員試験)だとし、祖母がどっちかを選べと無理強いしたのでいやいやながらも2番目に嫌いな科挙を選んだと話します。ジョイは自分が一番嫌いなタイプは自分中心のエゴ男だとあてつけがましく話します。
もう2度と会わない事で合意した二人、そしてそれを楽しそうにニヤニヤ眺めている助さんと格さん。突然4人同時に綱網がかけられます。
生き埋め
4人を捕獲したのは山賊たち。「金目の物を奪え。悪いが死んでもらう。」
「あんたたち、ここにおわす方をどなたと心得てるのよ!(ジョイ)」
「お前の亭主だろ。さっき夫婦喧嘩のやりとりをずーっと見てたぞ。お前たち夫婦をそろって仲良く生き埋めにしてやるから感謝しな。」
そこにもう一つの山賊グループが現れる。「おーい。お前たちそこでなにやってんだ?」
「これは兄貴。ちょっとカモを見つけましてね。そころで探している隠密みつかりましたか?」(イオンは山賊一味が陰謀に加担している事を知る。そんな事を気にしている状況ではないが。)
おおきな穴に縛られたまま落とされる4人。上から土が降ってきます。すると上から「うわぁぁぁぁぁぁぁ」という悲鳴。
幽霊
山賊の気配が消えます。ジョイはイオンの懐にある小刀を取り出してなんとか縄を切ります。
穴の深さは3メートルくらい。男三人がダッシュの勢いで駆け上がろうとしますが無理。それを見たジョイはロッククライミングを始めて無事地上に戻ります。縄を探して放り投げて一人一人両腕で引きずり上げます。
4人がほっと息をつくと目の前に火の玉が飛んでいます。そのうしろにたたずんでいるのは女性の幽霊。(山賊はこの幽霊を見て逃げたのでしょう。)
「御使とジョイ」はフィクションですが 世子のモデルは昭顕世子ですね。清国との戦争に敗れた代価のひとつとして世子は人質として清国に連れていかれます。清国の近代化を目にした彼は朝鮮国内での改革を決意して8年後に帰国しますが王様は彼を清国かぶれと嫌って毒殺してしまいます。1645年の事です。この話は「馬医」や「チュノ」に出てきます。日本は三代目徳川家光の治世。
最後に出て来た幽霊はポリに似ていました。ポリの霊が助けてくれたのか。
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