「赤い袖先」(原題:袖先赤いクットン)は王様の世継ぎと宮廷女官の切ない恋を描いた時代劇ドラマ。視聴率は平凡な数字でスタートしましたがどんどん伸びて最終話では17%と2021年韓国ミニシリーズドラマランキング第4位を獲得。主演はボーイズグループ2PMのジュノと「チャングムの誓い」でクミョン子役を演じた俳優歴20年のイセヨン。2021年11月12日から2022年1月までMBC局で放送した最新作ドラマ。全17話。日本ではケーブルのKNTVチャネルで2022年4月から初放映決定。
「赤い袖先」第1話あらすじ
怖い話で小遣い稼ぎ
時代は李氏朝鮮時代後期。場所は宮廷。
「深夜ふすまの外から『お武家様、お武家様』とささやく女人の声。目を覚ました武人は剣を取って庭にでる。誰もいない。庭の池の中をのぞくと二人の女人の姿。手を水の中に近づけると水面から手が現れ武人を池の中に引きずりこむ。」
「きゃー!」叫ぶ宮廷女官の幼い見習い生たち。怖い話をしているのは同じ見習い生のソンドクイム(イセヨンの子役)。この物語の主人公。
彼女は恐怖話を話して同僚たちからお金やアクセサリーを巻き上げるバイトをしています。「まだ足りない。」彼女は何らかの目的があって100両の貯金を目指します。
真実の口
恐怖話会が女官たちにばれてしまい主催者と疑われた4人の見習い生たちが呼ばれます。
「女官の掟を破り恐怖話会を始めようと呼びかけた者は誰じゃ?」そう聞くのは提調尚宮。(尚宮とは宮の高位級官吏。全員女人で構成。王様の女として扱われる。但し江戸時代の大奥とは若干異なり尚宮たちは宮廷でそれぞれ仕事と役割を与えられる。 提調尚宮は尚宮の長。)
自分ではないと弁明する4人の子供たち。
提調尚宮はローマの「真実の口」のような模様の木箱を取り出します。
「これは嘘を見破る箱である。西洋から運び込まれ物だ。嘘を申す者がこの箱の中に手を入れれば手をちょん切られてしまう。嘘でないと申すならこの箱の中に手を入れて見よ。」
恐る恐る口先に手を入れてさっと手を抜いてしまう3人の子供たち。最後に手を入れた チビドクイム は箱の中を手で調べまわしてゆっくり抜きます。
「手のひらをみせなさい。( 提調尚宮)」
3人の子供たちの手が真っ白なのに対しドクイムの手は真っ黒。
「この箱が手を切るという話は偽りである。中には墨が入っている。手が真っ白な3人は嘘を申したな。罰としてふくらはぎを20回叩く。」
「お待ちください。会を開こうと最初に話したのは私です。この3人ではありません。」
「この箱が怖くなかったのか?」
「切られる事はないと思っていました。もしそんな生き物がいるなら私の手が今まで無事なはずございません。」
この娘は賢くて使えそうだと満足気な 提調尚宮。
まじめで賢い子供
学者たちがずらりと並ぶ大広間で自分の学習試験結果を聞く子供。答えはすべて〇。但し最終問題だけしくじって×。
「最後は間違えましたがこの成績は立派なものです。(学者の師匠)」「いや、だめです。もっと頑張らなくては。褒めないで叱ってください。自分に対する罰として今日は部屋から一歩も出ず予習復習に励ます。」そう答えるのはこの物語のもう一人の主人公イサン(子役)。王様の孫にあたり王様が指定したお世継ぎ様(世孫)です。
そこに大声で「ヨン嬪様が亡くられました!」との知らせ。(ヨンは性、嬪は王様の正室を除く女性に与えられる最高官位。通常は後宮(つまり王様の2号さん、3号さんの事)と呼ばれます。 ヨン嬪はサンの実の祖母にあたる。 )
出会い
ドクイムは話会を主催した罰として亡くなった ヨン嬪の実家に夜中に弔問に行かせられる。3人の友達の前で全然大丈夫と強がっているが一人森の中を歩くと半泣きになります。
一方サンは自分の部屋に大きな人形を置きお世継ぎ特製服を着せて抜け出して秘密裡に祖母の弔問に出かけた。実は祖父である英祖王(イドクファ)の弔問の許可が下りなかったのだ。
(このドラマは「イサン」や「トンイ」を見ておかないと理解しにくい部分がありますので補足説明いたします。
史実によれば 英祖 は聡明な名君と呼ばれたが王位を継ぐ際に現在の妻である貞純王后を中心とした老論派という官僚派閥に大きな借りを作った。 英祖の先代にあたる景宗が死んでもいないのに老論派は英祖を世弟に作り上げ、景宗に政治をやらせずに英祖に代理政治をやらせてしまい英祖の時期王様任命を事実化してしまった、。この辺のいきさつは大幅に美化歪曲されていますが「トンイ」に出てきます。そして 老論派をよく思っていない 英祖の息子サド世子を攻撃し陥れます。最後のほうにこのドラマに出てくるサンの実の母親はサド世子の奥方です。 老論派を無視できない英祖は讒言を受け入れサド世子を狭い米櫃箱の中に閉じ込め水も食物も与えず放置して8日後に餓死させます。この辺のいきさつは「イサン」に出てきます。今回亡くなったのはサド世子の母親。イサンが弔問に行く事は自分が罪人の血筋だと間接的に認める事になり、彼の世孫としてのポジションを危うくします。今のサンのポジションはサド世子の息子でなく英祖の死んだ嫡男の養子です。だから王様は行ってはならないと止めたのです。)
森の中で転ぶサン。「大丈夫?」サンを見つけたドクイムが声をかけます。二人の訪問先が ヨン嬪の実家だと一致したので二人で弔問に向かいます。イサンは自分の事を世孫の側近と偽ります。
家までたどりつくと火をともった提灯数十個が道しるべとなって明るく夜を照らしています。
「実はお忍びで来たんだ。だから正門からは入れない。」
屋根から家に忍び込む二人。
後悔
横たわる祖母の前で座るサンとドクイム。「サンが来ました。この前あんなひどい事を言ってすみませんでした。」ぼろぼろ涙をながします。
祖母との会話回想シーン
「おばあ様は父上を殺せと申したのですか?実の子供に何故そんなむごい仕打ちができるのですか?」「私もそうなったらおばあ様は簡単にお見捨てになられるのですか?」祖母は残されたイサンを守るために泣く泣く息子の死を諫言したが子供のサンには大人の事情がわからない。
祖母の死により謝る機会がなくなったとなげくサン。
「ぜんぶ聞いているわよ。あなたの思いは伝わったわ。亡くなられた方はなんでもわかるの。」「何故そんな事を言う?」
「今日は風が強い日。でも家の前に並べてあるたくさんの灯篭のろうそくの火が一本も消えてなかったわ。あれはあなたを ヨン嬪様 が歓迎している証拠なの。」
「あなたサンって名前なんだ。」「どうしてそれを?」「今自分でそう言ってたじゃない。」「お前の名前は何?」
ここで「王様の御成り!」という大声。
みつかったら大事になるのであたふたするサン。
王様登場
王様の足音が聞こえてくる。隠れる場所を探すが見つからない。ドクイムが小窓を発見。サンは間一髪で外に出ます。
ふすまの前では側近たちが「行ってはなりません」と嘆願しております。「余と長い間人生を共にした女人、余の子供を6人も生んでくれたのに弔問して何が悪い!」制止をふりきって中に入るとドクイムが土下座して待機していました。
「お前は誰だ?」「宮廷女官見習いです。」「こやつは余と長い年月を共にし、一緒に大業を成し遂げた。それなのに掟だの慣例などうるさいやつらが多い。 ヨン嬪を弔問して何が悪い。そうではないか?」「はい。その通りだと思います。」「そうか。余はな。袖先が赤い服を着た宮廷女官を見ると悲しくなる。これは王様の女という印だ。余の母親も女官出身であったし、こやつもそうであった。」「王といっても出来る事が限られている。余ができない事をいろいろ並べればさぞかし驚くであろう。」
「お前はどんな女官になりたい?」「文を書ける女官になりたいです。」ここで3人で会ったのも何かの縁だと王様は言い部屋の中のタンスからイサン祖母直筆の本を取り出します。「これはこやつが書いたものだ。お前にやろう。」
それぞれの帰宅
宮に戻ったドクイム。夜中によくやったとほめる堤調尚宮。「なぜこんな重要なお使いを私にさせたのですか?」「見せるためよ。最高位の官位を得た女性の死に際を。女が宮で死ぬことは許されない。ただ王様の寵愛を受ければ例外となる。あの側室を見てごらんなさい。あの方たちが例外なの。」
どうやら 堤調尚宮はドクイムの聡明さと端麗な容姿に目を付け彼女を世孫の側室にして自分の権力基盤を固めようと考えている様子。
一方サンが戻ると側近のホンクギョン が待っていた。(史実によれば彼はイサンの策士となりイサンの危機を何度も救う。ドラマ「イサン」でも詳しく描かれている。)外出したイサンに苦言を呈すホンクギョン。「お前は祖父が私を監視せよとつけられた男。今日の事もすべて祖父様に報告するのであろう。」「外出しただけでとがめているのはありません。この本は禁書です。何故もちだされたのですか?これが王様の耳に伝われば大変な事になります。世孫様が王様になりいい国を作ってください。」「その本を書庫に戻しておけ。」
禁書を元の場所に戻したホンクギョンであったがその様子を誰かに見られていた。
禁書
一方ドクイムはジャンルが違う3つの本の上にお金を積むよう同僚に指示し、一番大金が置かれた本を読むと約束し商売を再開しようとます。しかし耳を引っ張られ「ほんの少し前に叱られたばっかりなのに」と尚宮見習いの教育担当ソ尚宮(愛の不時着でソダンのお母さんだった人)に叱られます。
「お前の役目は世孫様に忠誠を尽くす事よ。そのために自分を磨きなさい。」「いいえ。世孫様によくしても一銭も見入りがありません。」
あきれたソ尚宮は見習い生全員を集め、もし自分が仕える方(東宮館見習いのドクイムにとっては館の主であるイサンが主)が亡くなれば見習い生たちも全員宮から追い出されると話し、よく奉仕できるよう努力しろと伝えます。
ドクイムは宮でお金を稼がなければならず宮に居続けなければならないので世孫の事を自分の問題ととらえるようになり、彼の健康状態も気に掛けるようになります。
ソ尚宮はその他「史記」という王朝を記録した本が禁書となっているのでもし見る機会があっても決して見てはいけないと教えます。史紀には現王様の母親(トンイの事)が卑しい身分の出身と書かれておりその表現を忌み嫌った英祖が禁書にしたもの。
ある日ドクイムはサンが禁書を書庫から持ち出したのを見たので王様に告げ口するとした女官たちのひそひそ話を耳にします。(ソ尚宮の禁書の訓示を記憶していたドクイムは主が危ないと直感的に感じます。)
(イサンが禁書を持ち出したと告げ口したのは宮中最大派閥 老論派 に間違いないでしょう。 老論派 はイサンの父親を罪人として責め立てて死に至らせた組織なのでイサンが王様になって復讐されると困ります。なのでイサンが子供である今のうちに彼の芽をつぶそうと躍起になっています。但しサド世子も晩年頭が変になりたくさんの宮女を殺したので潔白というわけではありません。)
王様の怒り
王様の館の前で土下座して謝るサン。「私が悪うございました。もういたしません!。どうぞお許しください。」
サン禁書持ち出しの話はすでに王様の耳に届いていた。部屋の中ではサンの母親ヘ嬪(ヘビン)が土下座して謝っている。
「余があれほどサンに良くしてやったのに何が不満だ。余の母親が身分の低い家柄なのでそれをあざ笑っているのか!」
「持ち出した禁書をここに持ってこい。あやつを廃位する前に確認をする。」
史紀を探しに書庫を訪れたホンクギョン。しかし書庫担当管理たちは「史紀」探しで大わらわ。「一体何故消えてしまったのだろう?」
実は書庫の大掛け軸の後ろに隠れていたドクイムが抜き取って持っていました。必死に本を読むドクイム。「卑しい身分の女性」と書かれた箇所を探し当てそのページをちぎったあとに史紀を書庫の床に置きます。その様子をホンクギョンは目撃します「あった!(書庫官吏)」
逆転
地べたに土下座するサンの前に立つ王様。「民は余の前では王様と崇める。しかし陰では卑しい下女から生まれた男と蔑んでおる。お前も余の事を愚弄しておるのだろう。」
「いいえ。愚弄などもってのほかです。王様は父上と一緒に自分も処分できましたがそうはせず世孫の位を与えてくれました。私がどうやって愚弄できましょう。私は読んでいないと嘘もつけました。ですがそうしなかったのは王様に対する不義になると思ったからです。どうぞ怒りをお沈めなされませ。」
サンの言葉にうるっと来る王様。ですが厳しい事を言い放ちます。「生意気な奴め。嘘ひとつつけんとは。それで本当に余の跡を継げるとでも思っているのか!」
そこに書庫官吏がやってきて史紀を王様に手渡します。「卑しい女」と書かれたページが破り捨てられていました。
「そうか、そうであったか。余が忌み嫌うこの箇所を他の者に見せまいとお前が破り捨てたんだな。それに違いない。そうだろう。うははは。」
「さようでございます。」サンは嘘をつきます。
「皆の者。何をしておる。サンが凍えておるではないか。余の上着を持ってまいれ!」
自分の赤い上着をサンの体にかぶせる王様。
嘘
ホンクギョンを呼び出すサン。「あのページを破り捨てたのはそちか?」
ホンクギョンは一瞬史紀を床に置いた幼い女官の事を思い浮かべます。だが「はい、そうです。私です」と嘘をつきます。
「お前のおかげで命拾いした。いつまでも隣にいてくれ。今回の事は王様になってから恩返しする。」
丘の上で宮中を見渡すサン。隣には母親ヘビン。
「頼んでおいたあの娘を探しましたか?」「かの娘は宮を去りました。お忘れください。」
「主である私が宮にいるのに立ち去るとは何事でしょう。」「死んだと伝えるよりは立ち去ったと言ったほうがいいでしょう。あの娘と関わってはなりません。もし祖母様の弔問に行かれた事が王様に知れたら世孫様だけでなくかの娘もただでは済まなくなります。」
「母上のおっしゃる通りですね。かの娘は忘れる事にします。」
青年、乙女になる
小学生の遠足のように二人づつ並んで歩く見習い生たち。その中でドクイムによく似た子供を見つけたサン。追っかけて確認しますが違う子。がっかりしますが「私に近寄れば危ない目に合う。これでいいんだ」と独り言をつぶやきます。隣でその言葉を聞いていたホンクギョンは勘違いして「自分はどんな困難にあっても世孫様の横にぴったりつきお守りします」と決意を伝えます。サンとホンクギョンの後ろに遅刻して走って行列に加わるドクイムがいました。サンは気づきません。
それから月日が流れすっかり乙女になったドクイム。宮中を忙しく駆け回ります。自分の部屋に入って箱の中をチェック。史実の破り取ったページを見てつぶやきます。「あの時私は世孫様をお助けしたのに。何の連絡もこない。尚宮に昇格されるくらいの褒美があってもいいはず。あれ、何馬鹿な事を言ってるかしら。生きているだけで丸儲け。」
山道を元気に走るドクイム。スピードがですぎて猛烈な勢いで下り坂を走っていきますがうまく減速できません。勢い余って道にたたずんでいる男にぶつかってしまう。ぶつかった人間は青年イサン、世孫です。
「赤い袖先」第1話感想
初回の視聴率は5.7%。これがどんどん上がって最終話では2021年ミニドラマシリーズ第4位となる17.4%。このドラマがどのように人々の心をつかんだのかじっくり見て行きたいです。
第一話でおちびちゃん主役の二人を比較すると、機敏さ、機転、度胸、かわいさでドクイムが圧勝。第2回以降サンがいい所を見せられるか。世孫というポジションとまじめな子供という部分を除けばさしたる特徴なし。
ちなみに横たわっている死人のサンおばあさん役をやっているのはナムギエという役者さん。「太陽の末裔」でカンモヨンの母親を演じた人。今作品と同じく2021年秋に放映された「智異山」「今、別れの途中です」「キマイラ」にも出演。同じ時期に4作品に同時出演する忙しい脇役さんです。
「赤い袖先」日本での視聴方法
「赤い袖先」はKNTVで2022年4月より放映スタート(全話日本語字幕付き)。2011年3月11日金曜日20時~22時30分に第一話第二話先行無料放送実施。KNTVは日本で最初に韓国ドラマを放送する事にこだわる韓流専門チャンネル。
KNTVはスカパーから視聴可能
その他KNTVで視聴な可能な話題最新作に「ワンザウーマン」(2022年3月18日スタート)、「ホンチョンギ」(2022年2月19日スタート)がございます。
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