「御史とジョイ」は李氏朝鮮を背景とした時代劇ロマンチックラブコメディです。韓国のレビューを見ると「100日の郎君様)とスタイルがよく似ているとする指摘をいくつか見かけましたので「100日」ファンなら必見。料理作り、絵描き、読書以外興味のない貴族の御曹司が頭が飛びぬけてよかったために御史(隠密)に抜擢されてしまいます。旅先で知り合った自立精神が強く心のままに生きる寡婦ジョイと知り合い難事件を解決していきます。主演はヴィンチェンツォで存在感をしめしたオクテギョン。自由奔放な離婚娘を演じるのは「スカイキャッスル」でめちゃめちゃ憎たらしい長女を好演したキムへユン。制作は 「愛の不時着」「マイディアミスター~私のおじさん」「トッケビ」「ミスターサンシャイン」など近年名作ドラマを量産するスタジオドラゴン。ケーブtvN局創立15周年記念作品。全16話。
「御史とジョイ」第1話あらすじと感想
グルメ男子の誤算
名家に生まれたライオン(オクテギョン)は出世に興味のないグルメ男子。いかに食材を自分の手でうまく料理しておいしく食べるかしか関心のない男。彼は小さな餃子店を営んで自分が好きな料理をして一生を過ごすという小さな野望を持っていた。
しかし彼が天才であった事から人生設計が大きく狂ってしまいます。名家出身のサガで仕方なく受けた国家公務員試験に受験生最年少で最高点をたたき出してなんなく合格。イオン以外誰もがうらやむ弘文館という出世街道まっしぐらのエリート部署に組み込まれ彼の人生路線は変更不可になります。
役所に出勤しても居眠りばかりでやる気を起こさないイオン。但しランチタイムには元気100倍になり自分が調理した手作り弁当を同僚に分け与えて喜ばせる日々に明け暮れます。
王様の憂鬱
いつものようにイオンが同僚とともにランチ弁当を分け合いながらぱくついているとふらふら歩いてきた男がランチパックを横取りし数回口に入れてから倒れてしまいます。彼は京畿道に派遣されていた暗行御使(王様の特命を受けて身分を隠し地方に潜入し悪者の悪事を暴き裁く隠密。)。
同僚たちはこの頃隠密にかかわる事件が多く発生していて特に忠清道で死亡事件が多いとささやき合います。「それでもこの人はまだ生きて戻れてよかった。」「くわばらくわばら。」
琴を弾いている王様(チョグァヌ)。
そこに領議政パクスン(チョンポソク)がやってきます。 領議政 は総理、江戸時代で言えば筆頭老中のような存在。彼は王宮を牛耳っており王様をただのお飾りにしてしまいました。王様も彼に弱みを握られているので反抗できません。
パクスンが王様を訪れたのは次の隠密を 忠清道 以外に派遣するよう要請するためです。どうやら 忠清道はパクスンが不正な資金を稼ぐ温床のようです。
彼が 忠清道の民に悪さをしているとわかっていても王様は彼に抗えません。
そこにやって来たのがパクスンの政敵である 弘文館 館長。次の隠密の派遣先は死亡者が出て欠員状態の 忠清道 に送るべきだと力説します。
板ばさみになった王様はくじ引きで行先を決めますが出た目は 忠清道 。これにはさすがのパクスンも不服を申し立てる事ができません。 忠清道で決定です。
離婚申し立て
忠清道 の町役場。一人の若い女性が役場の中庭のお白州で夫との離婚を認めてくれるよう嘆願しています。「21歳で結婚してから3年。つらく悲しい日々でした。これからあと30年がまんする事などできません。私は自分の幸せを自分でつかみたいのです。私の名前はキムジョイ。ですが嫁いでからはこの野郎、馬鹿野郎、こいつ、貴様などとしか呼ばれた事がありません。自分の名前を取り戻したいのです。国の法に従い離婚をお認めくださいませ!」
その間ジョイの隣にる旦那は一言もしゃべりません。
聴衆スタンドにいる女性ギャラリーたちは同じ苦労をしているので納得して相槌を打ちますが男性ギャラリーたちは悪人を見る目つきで彼女をにらみます。
役所の副官長のように見える男が地方役場官長(正式名は使道又は守令、王様から派遣された地方官吏)に「離縁をお認めなされれば?」とささやきます。
「ちょっと待ったぁー!」と後ろから出てきて叫ぶ姑。
姑は自分が嫁を自分の娘のように大切に扱いこき使わなかったと強調します。しかし途中ジョイが嘘を正そうとするとみんなの前で平気で彼女の頭をぽかんと叩きます。
らちが明かないと見たジョイは切り札として夫が賭場に入り浸っている事実を告げます。
「なに!それは本当か?(官長)」
しかし姑も夫もそれを真っ向から否定します。
ギャラリーの中に一緒に賭場に通っている人たちが目撃していると訴えるジョイ。しかし男たちはみんな知らん顔。
何かお前の証言を証明する証拠を持ってこいと官長が言い、離婚申し立て協議はいったん中断されます。
イオン、忠清道隠密に任命される
イオンは世子(お世継ぎ様)が襲われる夢を見る。「だめです。世子様ぁぁぁ!」冷や汗を流して目が覚めます。
家に王様の使いが巻物を持って現れる。忠清道へ隠密としてイオンを派遣するとする王命です。
「何故一番歳が若い私が?」他の人間たちは皆仮病やなんらかの理由でミッションをすり抜けてしまった。「あやつのお祖父は昨年亡くなったではないか。今年も亡くなったとでも言うのか!」イオンは同僚たちの嘘に腹を立てます。近年忠清道に行った隠密たちは皆殺されている。イオンの下人である助さんユッチルと格さんクパルも当然若様のお供をしなければならないと知っているのであれこれ理由をつけて同伴を辞退しようとしますがイオンは許しません。
「まじめに仕事なんかせず田舎の探索旅行でもしよう。(イオン)」3人はすぐに旅支度をして漢陽(現在のソウル)を出て忠清道に向かいます。その距離約120㎞。
証人
ジョイはケファ村にある親友ポリが営む「ポリ酒店」に行くとポリは赤ちゃん用の服を縫い合わせていました。妊娠中です。ジョイはギャンブルの証言を頼み、ポリは快く快諾してくれました。ポリのお腹の子供の父親は離婚裁判を取り仕切っていた官長。ポリがしゃべってくれれば離婚は成立したも同然とジョイは喜びます。
その日の夜地方役場官長がポリを訪ねてきます。ポリに忠清道記録帳簿を手渡しこれを保管しておくよう頼みます。「何ですか、これ?」「命綱だ。お前もここを離れる準備をしておいてくれ。」
翌日離婚調停協議が再開。「証拠は見つかったか?(官長)」「はい。夫が賭場に出入りしていると証言してくれる証人がいます。」しかしポリはお白州に現れませんでした。
初対面
イオン一行は忠清道のケファ村に到着。イオンは村に入る前に汚い恰好に変装します。変装後まっさきに訪ねたのが「ポリ酒店」 。ここで 忠清道 一番のチャグリ(豚肉とジャガイモの辛スープ鍋)を出すという評判を耳にしていたからです。「誰かおらんか?」 「ポリ酒店」には誰もいません。お腹がすいてへなへなと店先で座り込むイオン。
そこに怒った顔をしたジョイがやってきます。「あいつ、人を裏切って。ただじゃおかないから。」お店や部屋をくまなく探しますがポリがいません。「あなたこのお店の主人?」とイオンが聞きます。「乞食が主人のいないお店で物乞いしちゃだめでしょ。消えな!」
ポリの死
街中を歩きまわってポリを探すジョイ。しかしポリは川辺で溺死体となって発見されます。嘆くジョイ。イオンはなにか事件の匂いをかぎとります。しかしお役所の事には関与せず物見遊山だけして都に戻ると決めていたイオンは役人たちがポリを荷車で運ぶ様子を黙ってみています。人々は彼女が渓谷に登って落ちたと噂しています。
一方ポリの死体を見た地方役場官長は昨晩のポリとの会話を思い出します。「お前と住む小さな家を買うため朝廷献上品を運ぶ船でちょこっと悪さをした。それがこんな事になるとは。。。」「貢船から物を盗んだのですか?」「事が大きくなる前に逃げ出すためにはこの記録帳が絶対必要だ。しっかり保管しておけ。これが命綱になる。」
下級役人が官長に報告に来ます。「上官。隠密の死体が浜辺で見つかりました。」「なんだと!」
そこにいた地方役場副官長は下級役人に今すぐポリを火葬してしまえと命令します。
役場の門の前にいたジョイはポリを火葬場に運ぼうとする下級役人たちを止めようとします。「いくら身分が低くても葬式もせず弔う時間も与えないなんてだめです。」無視して立ち去る役人たち。「彼女は妊娠していたのに。。。」
「今の聞いたか?」その様子を見ていたイオンがつぶやきます。「妊娠しているからには自殺じゃない。渓谷にも登らない。イライラさせる。ひとつだけ確かめてみよう。」
馬の紋章
浜辺に横たわる役人の死体。漁夫の網に引っかかって見つかったのだ。「朝廷貢船に乗ってた役人に違いないですね?(副官長)」「あぁ。(官長)」「でもこっちには帳簿があります。あれさえ持っていれば大丈夫ですよね。ポリはどこに隠したのですか?」「あっ!うっかり忘れてた。」
役人たちは漁夫に固く口留めして死体を役場に運びます。途中イオン三銃士と谷の道ですれ違います。イオンは担架で運ばれる死体を覆い隠す布シーツからはみ出た金属の5頭の馬が掘られたメダルに気づきます。これは王様から与えられる隠密の証です。これでイオンは後に引けなくなりました。
「御史とジョイ」 の演出は「キム秘書はいったい、なぜ?」のユ・ジョンソン、脚本は「恋のトリセツ~フンナムとジョンウムの恋愛日誌~」のイジェユン。ラブロマンス路線、ラブコメ路線確定でしょう。
グルメおたくと自由奔放な寡婦という当時としては斬新な発想を持つ男女がこれから繰り広げていく調査ショーが楽しみです。初回の視聴率は5%。
本ドラマは楽天VIKIで放映中。タイトルは「秘密王室監査官ジョイ」。もしかするとのちほどタイトルをこちらに変更するかもしれません。 「御史とジョイ」はオリジナル原題の直訳。
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