「赤い袖先」第10話あらすじと感想
安眠
サンの腕の中ですやすや眠るドクイム。二人の幸せモーメント。そこにホンクギョンの邪魔が入る。「いまそんな事している場合ではありません。」「少し待て。守ると約束した。謀反を最初に知らせてくれた凧。それを空に揚げてくれたのはこの女だ。」ホンクギョンは自分も休まず馬を走らせ兵士たちを連れて来たし、命を賭け世孫を救うため命を失った者もいると諭します。「自分が今いるべき所におかえりください。」タイミングよく足をくじいたソ尚宮がそこにやってきた。サンはソ尚宮に代わりにドクイムを抱いて眠らせるよう指示します。
対策
堤調尚宮はサンが反乱軍を打ち破って兵士たちをつれて宮に向かっているとの一報を受けます。すぐに妓生館に向かいま妓生たちをははべらせて遊ぶ左大臣ホンジョンヨに会います。「罷免されてやる事もない。ワハハ。」堤調尚宮が自分は世孫に暗殺団を送ったが義挙は失敗したと伝え、今黙って座っているのは自分とホンジョンヨも死に向かって何もしないのと同じだと説明します。
堤調尚宮は王様がだれよりも疑い強い人間だという事を利用し、ホンジョンヨに王様の猜疑心を刺激しろと勧めます。ホンジョンヨは王様に世孫が今数千の兵をひきいて帰還中だと伝え、これは自分がこの国の帝王である事を民に見せびらかす行為だと宣伝する事にします。
「でもそれってただの時間稼ぎだろ?事実を隠す事はできん。王様は監査部に調べさせるであろう。本当の事がわかるのにかかる時間は10日。(
ホンジョンヨ)」
「私がその10日の間何もしないとお考えで?(堤調尚宮)」
王様の居間に現れ王様に割符を返すサン。しかし王様の態度は氷のように冷たくそっけない。
引っ越し
サンは東宮館から王様館の隣の館に移される。
一方ドクイムは書庫への移動配属。東宮館から移されたサンの書籍を管理するよう言いつけられる。ホンクギョンを見つけたドクイムは何故サンが東宮館を追い出されたのか聞くが「王様の命令だ。わけは知らん」とそっけない返事。
王族の宴会の準備をする王后とヘビン。ヘビンはサンが殺されかけたと王后に訴え、王様は監視するためにサンを隣に移動させたのではないかと聞きます。王后は世孫を監視しているのかもしれないし、世孫を敵から保護しているからかもしれないと答えます。「いずれにせよ時が解決してくれます。監査部が戻ってくればすべてが明らかになるでしょう。」
デコピン
書庫でうとうと居眠りをするドクイム。サンが現れてドクイムの額にデコピンして起こします。ドクイムは目を覚ましサンを優しく見つめます。そして両手を伸ばしサンの顔に触れようとします。そこで目が覚めます。そこまでが夢でした。
ぼーっとするドクイム。一言「会いたいな」とつぶやき涙ぐみます。
そこにサンが現れます。「相変わらずさぼっておるな。墨でも磨らんか。」
ドクイムが作業する間サンは両手を伸ばしドクイムの頬に触りつねります。「痛っ」
「先ほどさぼっていた罰だ。」「では善行についても褒美をください。」「いいだろう。なんでも言ってみろ。」
ドクイムの願いは夜空を望遠鏡で観察する事。
会いたかったのは誰?
星を望遠鏡で観察してはしゃぐドクイム。
「なんでも与えるつもりなのにこんなんでいいのか?」
「世孫様が星を観察している姿を周辺のひとたちがどれだけうらやんでいるか知らないんですね。世孫様の尊顔がどでかく見えます。耳にほくろがある事知っておられますか?キャッキャッ」
サンはドクイムの話を止めさきほど書庫で涙を流すほど会いたかった人は誰かと聞きます。
「これ以上偽る事はできない。お前と私の心が同じで。つまりその、私がお前を。」
「お願いです。それ以上言わないでください。」「何故?何故だ?」
「私の望みを聞かれました。私の願いは世孫様が王様に即位される事。その日まで他の事は考えないでください。」
「それがお前の願いか?」「はい。」「わかった。」
サンは悲しそうにその場を立ち去ります。「どうか病気やお怪我をなされぬよう。」ドクイムがやさしくささやきます。
振り返るサン。しばらくドクイムを見つめおでこにキスします。
命令だ
執務室に戻ろうとするとホンクギョンがついてきます。「書庫にいかれたのですか?」「ああ。」「ソン女史とお会いになられたのですね。」「ああ。」
「ではそのまま溺れてください。夢中になって愛に溺れておくといずれ熱は冷めそんな事もあったと思うようになります。誰でも一度は通る道です。」
「これからソン女史の話を私にするでない。これは命令だ。」
堤調尚宮が知りたかった事
汗をかきながら寝床にふせる王様。王様の隣にすわっている堤調尚宮。「お前か」王様が気付きます。
堤調尚宮は王様が自分を呼んだ事がうれしくて駆け足でやってきたと話します。
王様は自分が死ぬ前に堤調尚宮に一度会っておきたかったといい、部屋の隅に控えているチョンフギョムに伝えます。
「トスンジ(都承旨=王様の秘書)は書き記せ。堤調尚宮にプクチョンにある家と金百両を賜れ。家臣につべこべ言われぬよう費用は余の私財から捻出せよ。」
王様はこの頃記憶忘れが著しく堤調尚宮の顔さえも忘れそうだと話し、そうなるまえに謝っておきたかったと伝えます。
「すまない。お前には悪い事をした。もう余生は長くない。過去の事はすべて水に流してくれ。」
堤調尚宮は自分はその一言を聞くために今まで生きていたのかもしれないと答え、今まで数十年間悩みに悩んだが探せなかった質問の答えを王様に聞いてもいいかとお伺いをたてます。
「申せ。」
「何故私でなくヨンビンをお選びになったのですか?」堤調尚宮は堤調尚宮ではなく一人の女性の顔をしています。
王様は堤調尚宮を見ていると自分を写す鏡のようだと話し自分と堤調尚宮は同じ類の人間に属すると伝えます。
「ヨンビンは多情な女だった。奴がそばにいると心がやすらぐ。すまぬのう。」
「いいえ。むしろうれしいです。長年の胸のつかえがとれました。」涙は流しているがすっきり顔の堤調尚宮。
荒れるファファン王女
王様の館を出た堤調尚宮はトスンジのチョンフギョムに義母ファファン王女への手紙を託します。
堤調尚宮はプクチョンの家と百両を差し上げるので宮から出て行く準備をするよう伝えます。手紙は書きます。「本来王族は結婚すれば宮にはいられません。ファファン王女は王様の寵愛を受けられていたので特別扱いでした。ですがもうすぐ王様の代が変わります。」
手紙を読んで荒れ狂うファファン。「私に宮から出て行けと!私は王様の娘なのに。」「今にみておきなさい。私が黙ってやられっぱなしかどうか。」
手紙をびりびりに破ります。
潜入
ひさびさにソ尚宮に顔を見せに行くドクイム。ソ尚宮の部屋の前で堤調尚宮の姪カンウォレがソ尚宮を責め立てている声を聴きます。
「隠し事なしですよ。不本意だったにせよ連判状に手形を押したんだから私たちは運命共同体です。(カンウォレ)」
慌てて部屋に戻ったドクイムはキョンヒ、ヨンヒ、ボギョンに秘密結社の存在を打ち明け、恐らく堤調尚宮が今回の謀反に絡んでいるのでそれが発覚するとソ尚宮も死罪を免れないと説明します。
4人は連判状を探し出してソ尚宮手形の部分を破り捨てる計画を練ります。
深夜堤調尚宮の部屋に忍び込むドクイムとソ尚宮。部屋の前ではキョンヒ、ヨンヒ、ボギョンが見張り役をしています。堤調尚宮が宮の宴会準備で部屋に戻らないのは確認済み。
通路
部屋の中をあらさがしするドクイムとソ尚宮。隠し扉を発見。中に入ると秘密結社の宮殿へと続いておりました。
一方堤調尚宮が部屋に戻ってきました。見張りをしていた親友三人はあれこれつまらない話をして堤調尚宮の足を止めようと努力します。
供をつれて部屋に入ると堤調尚宮は何か異様な雰囲気を感じます。「あの3人はソンドクイムの親友たちね。今すぐソンドクイムをここに連れてきなさい。」
ドクイムはあれこれ箱をチェックするうちにさらに下へと続く秘密階段を見つけます。ソ尚宮と下に降りて行くと血だらけになって牢獄に閉じ込められているパク尚宮がいました。(パク尚宮はサド世子の乳母。演じているのは梨泰院クラスで金貸しでトニーの祖母だった人。)
出来事いろいろ
実母ヘビンの前で不機嫌そうなサン。「宴会では王様に笑顔で接しなさい。」「私は謀反で殺されかけました。でも王様は私を疑っておられる。私は父上が亡くなった後に心から笑った事など一度もありません。」
池のほとりで宮女たちを眺めるサン。「母上に嘘をついてしまったな。私はよく笑うようになった。ドクイムと会ってから。」サンは一人つぶやきます。
宮の外の一軒家。「今日は私が看病します。長居すると疑われますから。」ドクイムがソ尚宮に話します。布団に横たわっているのはパク尚宮。
堤調尚宮の部屋を訪れるファファン王女。「私はこのまま宮を追い出されるなんてごめんだわ。世孫を失脚させる手立てを考えて。」「淑儀ムン氏がお助けするでしょう。(堤調尚宮)」
軽く頭を下げるムン氏。彼女は王様の側室の一人。女官出身。実在の人。
事件
今日は宴会の日。王様の長寿を祝う王族の会です。
いつになく上機嫌で口もなめらかな王様。誰が自分に献上した料理かを言い当てます。「こちらの水餃子は王后、あちらの牛肉スープはファファンが出したものであろう。」
そこにひとつの料理が運び込まれます。覆っている布を取るとカニの醤油漬けと柿。王様の顔色が変わります。
「一体だれがこれを献上したのじゃ!」
火鉢から真っ赤な鉄箸を取り出してサンがいる方向に王様は歩き出します。
「赤い袖先」第10話感想
王様英祖にタブーが3つあります。「サド世子」「卑しい身分の母親(トンイ)」そして「カニの醤油漬けと柿」です。
英祖の先王はチャンヒビンの息子景宗。景宗は王様になって4年後に突然腹を壊して死にます。死ぬ前夜に英祖が景宗に差し出したのが「カニの醤油漬けと柿」です。英祖は老論派の後押しで景宗が健在であるにも関わらず子供がいないという理由で強引に「世弟」にしてもらいます。そして代理聴政のポジションも獲得します。一言で景宗をかなりないがしろにしていました。当時も今も景宗が英祖に毒殺されたとささやかれる所以です。
それにしても女官たちの洞窟の秘密結社。宮殿みたく豪勢で立派です。作るのに相当な人力とお金がかかります。王様以外は作れないでしょう。秘密結社地下宮殿の演出はちょっとやりすぎですね。
コメント