「赤い袖先」第13話あらすじ
女心がわかるか?
執務室で仕事をするサン。傍らで警護する親衛隊長にふと女の心がわかるかと質問する。親衛隊長は自分はその道の専門家だと答え、女性には弱い部分を見せたほうが気を引けるとアドバイスします。意中の女性の心をつかもうと最初は剣技を披露したり、華麗な弓の腕を見せびらかしたりしたがむしろ怖がられて引かれてしまったが、自分が手をケガをしたときには同情してくれてごはんを食べさせてくれたり顔も洗ってくれたと親衛隊長は今の妻とのなれそめを得意そうに話します。「王様。女性の気を引きたいのであれば弱いふり、可哀そうなふりをしなければなりません。」
刺客
王様が恋の指南を受けていると襖の向こうに複数人数の人影。サンめがけて手裏剣が飛んできます。
「殺すでない。生け捕りにしろ。」
庭に出た親衛隊長は3人の刺客を華麗な剣技で圧倒するが逃げられます。ソ尚宮は女官たちを集め宮に刺客が現れたので見つけるよう指示を出します。
カンウォレと一緒に宮中を探索するドクイム。「ウォレオンニ(オンニとは女性が目上の女性に使う親しみをこめた愛称。本来の意味は姉)はこの件と関係ないよね。」「あんたまで私を疑うなんて寂しいわ。」藪の中で物音。ドクイムは中を調べようとするが強引にウォレに引き留められます。探索を終えて庭の前に集められた女官たち。そこにホンクギョンが現れる。「親衛隊長。罪人を捕まえろ。」「了解です。」親衛隊長はカンウォレにまっすぐ進み連行します。
回想
ドクイムは部屋で川辺でのカンウォレとのやりとりを思い出します。ウォレはドクイムが経歴詐称している事を指摘します。(二人は宮に入る前からの家が隣同士の仲良し。だから家族の事も知っている。)「あんたヘビン様の家人の娘になってるじゃない。お父様は軍人だったでしょ。」ドクイムは父親がサド世子親衛隊隊員でサド世子が米櫃に入れられた日に主人を間違った道に進ませたとして処刑され、母親も後を追って自決したと打ち明けます。「そんな事私にペラペラしゃべっていいの?訴え出れば首が飛ぶかもしれないわ。」「ありえないわ。オンニの事よく知ってるから。」「あんた、私の事がわかるの?」「知ってるわよ。子供の時よく凧を揚げたり、ブランコして遊んだじゃない。」「決めた!私あなたの事守るから。(ウォレ)」(記録で見るとドクイムの父親は軍人ではなくヘビンの家人である事で正しいです。)
別れ
ホンクギョンに連れられて牢獄に連れていかれるドクイム。「ここで待機しろ。」
周辺に牢屋の中で血だらけになってすすり泣いている十数人の女官たちが見える。
「ねえ、ドクイム。」かすれたウォレの声が聞こえる。「あんたも取調を受けにきたの?ぴんぴんしてるじゃない。王様のお気に入りは違うわね。あいつら本当に手荒にあつかうんだから。」「悪い事したんだからしょうがないじゃない。」「髪をといてくれる?前が見えないの。」「藪の中に逆賊たちが隠れてたんでしょ?なんであの時私を殺さなかったの?」「なんとなく。自分の心のままに。幼い頃の妹分一人くらい生かしてあげてもいいでしょ。」「あんたは普通の子。でも嫌いじゃないわ。そういう人がいるの。人々に好かれる人。宮の外ではそれが長所になるけど宮内では短所になるわ。あんたを望むひとが増えるほどあんたにはよくないわよ。」ドクイムは懐から布切れを取り出してウォレの後ろ髪を結んであげます。「それじゃあね。(ウォレ)」
賭け
サンのお膳を整えるドクイム。本来は毒見尚宮の仕事だが取調を受けているのでピンチヒッター。だが相次ぐ女官たちの投獄と拷問で憂鬱な顔。
ドクイムの心を読み取ったサンは賭けをしようと持ち掛ける。勝者は望みを一つかなえてもらえるという条件。
パッと明るくなったドクイム。「勝てるという保証もないのに勝ったつもりで喜んでいるな。」ドクイムの褒美は先王の死で宮を追い出された友を再度宮に呼び戻す事。サンのが望むのは側室になるかどうかドクイムが返事する事。
「賭けの方法はそなたにまかせる。好きな物を選んでいい。」
ドクイムが選んだのは日頃ストレス解消でやっている水切り石なげ。(トビウオのように石を沈めて浮かせて遠くまで石を投げる競技)
池の前でドクイムは子供の拳くらいの大きさの石をサンに渡します。しかし親衛隊長が割り込んで平たい石のほうが遠くに飛ばせると邪魔します。(弱い男を演じるのが女性の心を引くコツとちょっと前に講釈したのにもう忘れてしまったようです。)だがサンはドクイムからもらった石を選び遠くまで投げてみます。ピョンピョンピョンピョン。「!!!」
勝負は3回戦。ここまで1勝1敗。ドクイムが最後の一投を投げる直前にサンは「呼び戻したい友はキムボギョンだろ?」と聞きます。「どうしてそれを?」「お前が友たちと楽しそうに笑っている姿を何度か見た。何か自分の物を奪われているような気分だった。」ドクイムは最後の一投で失敗します。石が水面から上がったのは3度だけ。サンの心理作戦成功です。ですがサンは最後の一投を投げず、そのまま水のなかにどぶんと沈めます。わざと勝ちを譲りました。
ボギョンが宮に戻ってきました。親友4人で涙の再会。
サンの苦悩
サンの部屋で墨をすずるドクイム。ボギョンが帰って来たので上機嫌です。しかしサンは憂鬱顔。「王様。逆賊の黒幕は捕まえましたか?」 「うむ。」「根こそぎ処断しなければなりません。」「なら全員殺さねばならんが。。。」「もちろんですと。。。」
そこにホンクギョンが入ってくる。来るなと言っておいただろと恫喝するサン。待てないと一歩もホンクギョンは引きません。ホンクギョンは逆賊名簿の中に入っているサンの異腹の弟を一刻も早く処刑しなければならないと催促にきており、弟を殺したくないサンはその決定を先送りしている状況です。その会話を聞いてドクイムはお茶を入れている湯呑をひっくり返してしまいます。ドクイムは自分とサンの生活に大きな違いと隔たりがある事を痛感します。
ホンジョンヨの予言
左大臣ホンジョンヨが軟禁されているわらぶき小屋を訪れるホンクギョン。王命により毒を与えに来たのだ。賜死の前にお茶を酌み交わす二人。「そなたはサンの後ろ盾で飛ぶ鳥を落とす勢いだという噂話聞いておる。(ホンジョンヨ)」「後悔はありませんか?(ホンクギョン)」「ある。王様が世子でいる間に殺しておくべきだった。いたずらに時を過ごし今はこのざまだ。」「お前は私のようにならないと思っているかな?お前の天下が未来永劫続くとでも思っているのか?」「私の今があるのは王様のおかげである事は重々承知しております。そして王様の寵愛が消える日も来るかもしれません。ですが心配無用です。後日のために準備もしています。(ホンクギョン)」「お前の計画通りに事が運ぶかわしはあの世でみているぞ。だが我々二人は思ったより早く再開しそうだ。」「ひとつ言って置く。王様はお前が思うよりもっと恐ろしいお人だ。」「王様はあなた様より私のほうがよく知っております。」「時には遠くからしか見えない物もある。(ホンジョンヨ)」「今日はこれくらいにしておきましょう。本日は家紋の目上の人への礼を尽くしにやってまいりました。」一礼し立ち去るホンクギョン。官吏たちがホンジョンヨに飲ます毒を運んできます。
(同じようなやりとりがドラマ「イサン」でもありました。但しホンクギョンの相手はホンジョンヨでなくチョンフギョムでした。)
ファファンとの対話
サンは叔母であるファファンを呼びつけ流刑にしたチョンフギョムが死んだと伝えます。「王様が殺したのですか?」「はい。私が殺しました。彼は叔母様の身代わりです。息子が救ってくれた体ですから命を大切にしてください。ではおさがりください。」黙って立ち去ろうとすると内官に王様に礼をして行けと戒められます。「息子に生かしてもらった身ですから粗末に扱いません。」ファファンはサンに拝礼します。
泥酔
内官たちに支えられて寝室に入るサン。ベロンベロンです。布団の横に親衛隊長、ソ尚宮、ドクイムがいます。夜遅くまでご苦労様とサンは言い、3人に贈り物を渡すと告げます。3枚の紙に筆でそれぞれ棒線、小さなマル、カーブの線を描き3人に手渡します。3人は歯が浮くような言葉でほめそやします。そしてサンも妙に明るくふるまいます。実はその日の昼にサンはウンジョン君(サン異腹の弟)に毒を与えて死なせたのです。ドクイムはサンの様子がおかしいのはそのせいである事を内官から教えてもらいました。ドクイムが飲み物を持って再びサンの寝室に行くとサンは悲しそうにぽつんと一人で座っていました。ドクイムの手を掴みひっぱって自分の心臓部分に押し付けます。今日はドクイムの運が悪いと言って、ドクイムにキスしようとしますが唇をあてようとした瞬間サンは眠りに落ちてしまいます。
側室鑑定
サンを呼びつけた大妃。サンの側室選びをすると伝えます。自分の側室は自分で決めると答えるサン。しかし後継者を作る作業は王個人の事ではなく宮中奥を取り仕切っているのは自分なので自分が候補を選ぶと大妃は押し切ります。
実母ヘビンの所に怒鳴り込みに行くサン。「側室選びの事で大妃と手を結びましたね?」「ええ。大妃は尽力してくださり借りがあるからね。でも側室鑑定とは名ばかりでもう相手は定められているわ。」「それはホンクギョンの妹の事ですか?」「あなたの忠臣の妹だし。」
「ホンクギョンと妹は母上と同じ家紋豊山洪氏なのでさぞかし満足でしょう。」サンは珍しく嫌味を言います。
ヘビンは自分がサンの意中を知らぬわけでなくドクイムを呼んで側室になってもらえないかと頼んだが断られたと話します。
ドクイムの答え
書庫にドクイムを呼び出したサン。サンは自分が出した質問の答えを何故ドクイムからではなく母親から聞かされなければならないのかとドクイムに詰め寄ります。
「側室になりたくない理由はなんだ?」
「私の物がすべて消えうせます。」
「何を言っているのかわからん。わかるように話せ。」
「側室になれば私のすべてを王様に差し出さなければなりません。私の物がひとつも残りません。」
「人間はすべて同じです。人にすべてを捧げなければならないのであれば、その人からすべてをもらいたいのです。ですが王様はそれができません。」
「王様にとっては側室を一人増やすだけの事ですが、私の人生はすべて揺るぎ再び過去に戻れなくなります。失う事が怖いのです。」
「私の心を失うのが怖いという事か?(サン)」
「いいえ。私自身を失いそうで怖いのです。」
「この問題は先延ばしにする。ただ先延ばしにするのであって忘れるという事ではない。(サン)」
治水
サンの御前会議が開かれました。ソゲジュンが初代宰相となり、ホンクギョンは都承旨になりました。大出世です。
官僚の一人から生涯の大計画は何かと聞かれサンは「治水」だと話します。これがサンの在任中のライフワークです。
民を飢饉から救う水の調整こそが一番重要な課題だとサンは宣言します。
ウォンビンホン氏
側室鑑定が行われホンクギョンの妹であるホンダン(ウォンビンホン氏)が側室に選ばれます。
庭で陶器や皿を拭く作業をしながら井戸端会議をするドクイム4人衆。
「ホンクギョン様は飛ぶ鳥を落とす勢いね。都承旨に出世して、今度は妹君を側室に差し出され。(キョンヒ)」
「ボギョン、あなたも夢からさめなさい。ホン様は野心の塊みたいな恐ろしいお人なの。女官たちを拷問して、十数人も殴り殺して。無実の子だっていたんだから。」
「ホン様の事悪く言わないで。(ボギョン)」
そこにウォンビンホン氏がドクイムを訪ねて現れる。お匂い袋をもらったお礼に来たのだ。無垢で純真な笑顔。
その日の晩は王様の寝室前で控える当番のドクイム。サンは外出中で今夜は戻ってこない。
「ここで王様をお待ちするのは女官としての務めにすぎない。だから他の事は考えるな!」ドクイムは邪心を振り払うように自分自身に言い聞かせます。
「赤い袖先」第13話解説
李氏朝鮮の官僚は全部で18品階。トップは正一品、その次が従一品。末端は従九品。国家試験を経て新官僚になった人たちは末端従九品からスタート。年月や手柄でどんどん上に上がっていきます。この過程はドラマ「ホジュン」でよく表現されています。
しかしめったな事ではなれないのが正三品から上の5品階。正一品、従一品、正二品、従二品、正三品。いわゆる両班と呼ばれる貴族階級です。両班はめったな事では死罪にならずその子孫も両班になる特権階級。その数はほんの一握りでしょう。努力や手柄だけでは両班にはなれない壁があります。
ソゲジュンが選任された領儀政(宰相)は正一品、そしてホンクギョンが選任された都承旨(トスンジ、王様の秘書)は正三品。ともに両班です。親が没落して何の後ろ盾もなかった貧しい書生のホンクギョンの都承旨への昇進は破格でしょう。
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