「赤い袖先」第15話あらすじ
追放
第14話の終わりで自分が愛する女性はお前ただ一人だと迫るサンに対しドクイムは自分はサンを男性として見たのはただの一度もないと答えました。苛立ったサンはドクイムをつかみ強引にキスしました。
サンはキスしたあとに明日の朝までドクイムに宮から去るよう命令します。
「王様に謝るのよ!何とかなだめすかして宮に残れるようにしないと(ソ尚宮).」
「そうしたくありません。これでよかったのです。これから以前のように王様に接する事ができなくなりました。」
ドクイムは子供時代英祖からもらったヨンビン(サンの祖母)が書いた本をソ尚宮に託します。「これはヨンビン様の貴重な遺品。宮の外に持ち出せないのでソ尚宮様が保管してください。」
本当の救世主
翌朝ヨンヒがドクイムがいないと騒いでいる。サンが女官たちの宿舎に現れます。
「ソンドクイムはどうした?(サン)」
「王様の命に従い宮を去りました。(ソ尚宮)」
「部屋に案内せい。」
ドクイムの部屋に入るサン。「もういないんだな。」「先ほど申し上げました通り王様の命令に従いました。」
「いや、この目であやつが宮のどこにもいない事を確かめたかった。一人にさせてくれ。」
「本当に出て行ったんだな。乞いもせず執着もせず。お前らしい。」サンはつぶやきます。
部屋の中に置いてあるヨンビンの本を手に取るサン。パラパラっとめくると切り取られたページの断片があり、その箇所には英祖の母親(トンイ)は下賤な家柄の出身と明記されています。
「何故ここにこれが?」
(この本のページが破られた事でサンは廃位を免れます。ホンクギョンはページ破り捨てた人間は自分だとサンに嘘の報告をしてサンの信頼を勝ち取りました。でも本当はドクイムだったのです。第一話参照 。)
1年後
それから1年経過。本屋の店主に自分が複写した本の値段交渉を強気で主導するドクイム。(たくましく生きています。)
帰り際に、宮の提示版の前で人だかり。うしろからなんとか前に出て公示文を読もうとするがそこでぱったり嫌な男と再会します。ホンクギョンです。
無視して歩き続けるドクイム。構わず付きまとい話し続けるホンクギョン。
「俺たちは奇妙な縁だな。心から王様に忠誠をつくした二人なのに同じ日に宮から追放された。」
「大妃を引き入れる手段しかなかったのだろうか?」
ドクイムは立ち止まります。ドクイムは当時飛ぶ鳥を落とす勢いのホンクギョンを止めるためには命を賭けるしかなかったと答えます。
「君は命なんか賭けてない。大妃を介入させても王様は自分を殺しはしないだろうとしたたかに計算してたんだ。どうだろう?」
「人の心の中を探ろうとしないでください。」
「君はいつも王様の特別な存在だった。誰よりもその事をよく知っている。だがそれももう終わりだな。」
「どういう意味ですか?」
「あの公示文は側室鑑定の知らせだ。次の王様の側室を募集しておる。」
「時は過ぎた。王様は君も私の妹ももうお忘れになられた。」ホンクギョンはそう言って立ち去ります。
再会
軍の訓練を直接指揮するため郊外の野外フィールドに出向いたサン。大雨に見舞われます。「今夜は近くにあるチョンヨン郡主(サンの妹)の家に泊られてはいかがですか?」「そういたそう。」
2人妹夫たちと酒を酌み交わすサン。ホンクギョンがカムバックのため王族に積極的にコンタクトを取っているという報告を受けます。サンは次の側室に宰相の姪が選ばれたと話します。
すると遠くからドクイムが現れました。チョンヨン郡主に頼まれた本を渡しています。彼女は今チョンヨン郡主の家人としてこの家で働いています。
サンとドクイムの視線が合います。「王様に挨拶したら?(チョンヨン郡主)」「私は追放された身です。呼ばれなければ拝顔できません。」「あなたは特別な人なのに。。。」
サンはドクイムを追い出した後にチョンヨン郡主にドクイムの面倒を見るよう指示を出していました。その事を始めて知ったドクイム。
「私ね。追放になる晩にわざと王様に傷つくようなひどい言葉を投げました。本来なら奴婢に落とされてもしょうがないような言葉を。でもそんな私の面倒を影で見てくれていたなんて。」サンを同伴してきたソ尚宮にぼやきます。
「私は今とっても惨めな気分です。」
復帰
夜灯篭をひとつひとつチョンヨン郡主の軒下にぶらさげているドクイム。サンと鉢合わせします。
「お前に聞きたい事がある。祖母が書いた本の中に挟まれていた紙はいったいなんだ?」
「えっ?」ドクイムはすっとぼけます。
「まあいい。お前もホンクギョンももはや私にとって関係ない。」
「王様。一つお願いがあります。ここは王様の妹様の家。これからもこちらに立ち寄られる事があろうかと思われます。そしてもし私を見かけたら知らんぷりしてくださいませ。」
「貴様!王様にああせいこうせいとは相変わらず無礼極まりない!」
「でしたら私に罰をお与えください。」
ドクイムのチョゴリの結び目に手をかけるサン。「こういうのはどうだ。私はお前と一夜を共にする。お前は一般の宮女には戻れない。でもお前を側室にしない。宮の隅っこの部屋があてがわれる。一生女官たちの嘲笑と蔑視の中で無駄飯くらいとして生きていく。死ぬよりつらいだろう。」
不機嫌なサンはチョンヨン郡主の家には泊まらずそのまま宮に戻ります。
次の日ソ尚宮が走ってきました。「ドクイム、あなた、宮に呼び戻されたわよ。」
もし自分が死んだら
宮に戻る前にホンクギョンの家に立ち寄ったドクイム。
自分の宮入を報告します。「結局そうなったか。君は戻され俺は永遠に見捨てられた。。。あまりうれしくなさそうだな。」
「はい。戻りたくありません。」
「ウォンビン様を側室にしなければ死なずに済んだと私はホン様にののしった事。お詫びします。悲運な方でした。王子を作られ幸せに生きられたかもしれません。天命は誰にも計る事ができません。だからホン様のせいではありません。本様がギョンヒにした事は許されませんが、私の失言は謝ります。」
立ち去ろうとするドクイムを引き留めるホンクギョン。「宮に行きたくないと言ったな。これから二人でどっかに行くのはどうだ?済州島、金剛山。どこでも行きたい所に連れて行く。」
「宮女をもてあそぶ癖はそのままですね。」
「俺は君を見るたびに腹が立った。だが今はその理由をわかっている。君が追い出された時に初めて腹が立たなかった。」
「だからどうだと言うのですか?私がホン様についていけば罷免になった悲しみを忘れ幸せになれる、そんな話ですか?」
「そんなわけないだろ。自分を過大評価しすぎだ。私はこれから一生苦痛の日々を過ごす。君は私が死なずに済む程度に、やっと息ができる程度に癒しを与えてくれる、その程度の存在だ。王様が持てなかった物を自分が持てるという優越感もあるが。」
「この先もし自分が死んだという消息を聞いたら私を殺したのはほかならぬ君だという事を憶えておいてくれ。」
そう言ってホンクギョンは怪しげに微笑みます。
再開2
ドクイムの事は忘れようと心に誓うサン。
新しく側室に選ばれたファビンの館を訪れます。
ファビンお付きの女官たちを集めファビンに不便がないようよく尽くせと訓示します。
しかしサンは突然凍ります。お付きの女官の中にドクイムがいたからです。
二人の間に何かあると気付いたファビンはドクイムに王様の館に行ってファビンとの床入れの日程を渡すよう命じます。
深夜に王様を訪れるのは掟破りだとドクイムは説明しますが、「いますぐ届けなさい」とファビンは一蹴します。
王様の館に行くとサンはお風呂の真っ最中。
用事に来た女官がドクイムだと知りサンは他を退けます。
「その仏頂面を見せに戻って来たのか?いやいやながら強引に連れ戻されたとでも言いたいのか?」
「残念ながら、さようでございます。」
「宮を追放しても全然罰になっていないようだな。これからは好きでもない余を見続けて宮内で朽ち果てろ。」
「お暇してもよろしいですか?私の主はファビンです。」
「東宮付きの時もお前の主が余であったことは一度もない。立ち去れ!」
ファビンの館に戻るとファビンから折檻を受けます。
「お前王様と二人っきりだったんだってね。」小さな棒切れでドクイムのふくらはぎを叩き続けます。「色目を使って!」「お前の主がどんなに恐ろしいか教えてあげる。」ファビンはドクイムを叩き続けます。
次の日に大妃に怒鳴り込みに行くサン。
「何故王の命に背いてソンドクイムを宮に呼び戻したのですか!」
「私ではありませんよ。王様でもない。なら一体だれでしょう?うふふふ(大妃)。」
急報
御前会議の際中に突然親衛隊長が現れます。「ご無礼は承知ですが、事が急だったので。王様。ホンクギョンが亡くなりました。」
部屋でホンクギョンが王様に充てた遺書をサンは読んでいます。
ホンクギョンは手紙で自分がいつ道を踏み違えたのか幾度も考えてみたがどうやら最初の一歩だと書きます。ホンクギョンがサンの信頼を得る機会となった禁書事件。王様を救ったのは自分だとホンクギョンは伝えたが実は幼い女官見習いがやった事だと遺書で告白します。偽りの功を鼻にかけて権勢をふるったのが間違いの始まりだと綴ります。
サンが紙に筆をしたためます。「ホンクギョンよ。字名ホンドンロ。余の家臣であり唯一の友。。。。」
サンは書き終えた文をろうそくで燃やします。そしてホンクギョンを思い出して泣きます。
洗濯の音
床入れの約束の日にサンはファビンの館を訪れます。「今日ここで留まる事はできない。」サンがファビンに伝えます。
「前都承旨ホンクギョンが亡くなりました(内官)」
「罪を犯し宮を追放された一官僚の事など。。。(ファビン)」(ファビンは人一倍サンの寵愛を受けたい人間なのにサンの事を何もわかってないですね。)
サンの顔が怒りでみるみる赤くなっています。
「ではホン都承旨のお話をつかの間でもお話してくださいませ。さあ、中へ。」
「ソンドクイムはどこにいる?聞きたい事がある。」
「用事を言いつけて実家に送りました。明日の朝に戻ってきます。」
遠くから洗濯物を棒で叩く音が聞こえます。
「夜に洗濯させるのは禁止だな、ソ尚宮。」「はい。冬の夜に洗濯をさせるのは手が荒れてしまうので禁止されております。」
音がする方向に歩き出すサン。
洗濯物の山の中にドクイムがいました。洗い物を棒で叩いています。
「ファビン、貴様は我が母から賜った大切な女官を何と心得ておる!洗濯はムスリ(下女)の仕事だ。貴様は王と母上を無視しているからこんなマネができる!」
立ち去るサン。ファビンはドクイムを睨みつけてひっぱたこうと手をあげますが叩けません。
母の願い
母親ヘビンと向き合うサン。
何故王命を無視してドクイムを呼び戻したのかと母親に詰め寄ります。
「宮に戻ったドクイムがどんな目にあっているか。それを見せつけるためですか?」
「王様は何故あの娘を追放したのでしょう?自分の思い通りにならいからでしょ。(ヘビン)」
「イライラしてもう見たくない。だから追い出された。でもこのまま諦めるのですか?」
「あの娘は王様を幸せにしてくれるただ一つの道なのに。心から人を愛し、家族を作り人間らしく生きさせてくれるただ一つの道。」
「母上。。。」
「世の中で誰一人王様に幸せになれ、人間らしく生きろと言いません。あなたが王様であれば皆満足します。」
「でもこの母だけは言っておきたいです。王様。どうぞ幸せになってください。」
「ねえ、サン。幸せになって!」
ヘビンは優しく微笑みます。
「!!!」
一人にしてくれと宮の池の前でギャラリーを遠ざけるサン。「母上は私にどうしろというのだ。彼女が心を開かないのに。今まで数々の試練を克服してきたがソンドクイムは今までで一番高い壁だ。」サンはつぶやきます。
一方宮庭の端っこですすり泣く声を聞いたドクイム。近づくとボギョンが泣いています。大好きなホンクギョンが亡くなったがギョンヒにすまないのでここで泣いていると説明します。(ボギョン役の人は「応答せよ1988」で心臓病の長男を好きになったヒロインの親友ですね。やっと気づきました。)
池の橋の上でホンクギョンを追憶して一人泣いているドクイム。
「何故泣いている?ファビンが意地悪したか?」後ろから現れたサンが言います。「泣くなら自分の前で泣け。一人で泣くな。これは王命だ。」
ホンクギョンを思い出していたら自然に涙が出たとドクイムは答えます。
サンは禁書のページを破って命を救ってくれたのはドクイムかと聞きます。ドクイムは今更そんな昔の事引き出しても大した意味はないとそっけなく答えます。
「やはりお前だったのか。いつもお前だった。」
「ドクイムよ。余はお前にすまないと言えない。王様としてやるべき事をやったから後悔はしていない。再びお前を騙しても、お前を傷つけてもそうすべきならそうする。」
「よく承知しております。」
「だからといって余が平静であったわけではない。お前が泣けば胸が痛い。とっても我慢できないほど。すまないとは言えないが他の言葉は言える。ありがとう。何度も余を救ってくれて。余が知らないときでも守ってくれた。ありがとう。」
サンはドクイムの顔を触ろうとしますが手を引っ込めます。「もう遅いのか?一度変わった物を元に戻すのは無理なのか?」
サンは後ろを振り向き立ち去ろうとします。その瞬間ドクイムはサンの袖を掴み引き留めます。「!!!」
サンはドクイムを抱き、「お前にどれだけ恋焦がれていたか」とつぶやきます。ドクイムはサンを抱き返します。
「赤い袖先」第15話感想
朝鮮王朝の王様の中で韓国国民の人気を世宗大王とともに二分するイサン。人気の大きな要因の一つは彼が一人の男として一般庶民出身の女性を愛し続けた姿を見せてくれたからです。正妻や側室は何人かいましたがサンの恋愛生涯はドクイム一本やり。そして国民は二人の関係がどうなっていくかも熟知しています。それなのにこのドラマが国民の目をくぎ付けにしたのはドクイムのツンデレ効果ですかね。辛辣な言葉でこれでもかというほどのちに大王とよばれるようになった聖君正祖(イサン)をいじめ抜きます。やられるサンは情けないですがかわいらしいです。結末を知っててもついつい引き込まれてしまいます。評論家たちが指摘するようにジュノとイセヨンの演技がこのドラマを支えています。
記録によればドクイムがサンの愛の告白を複数拒絶したのは事実ですが本作品の二人のやりとりはすべて創作。つい続きを見たくなるようなうまい演出をしました。
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