「今、別れの途中です」第16話(最終話)あらすじと感想
何故出て行く?
Sonoオフィス。「もう一度考えてもらえないだろうか?(いびり部長)」「最後にひとつだけ聞く。何故で出て行くんだよ。(チヒョン)」「手遅れになる前に自分自身のデザインを手掛けて見たくて(ヨンウン)。」「そんなの新Sonoでいくらでもやれるじゃない。(チスク)」「Sonoはね、ある程度カラーも方向性もデザインも決まっているの。Sonoを生かしながらまったく新しいデザインを出すのは無理なの。真っ白なカンバスからスタートするわ。」
ヨンウンを別室に連れて行くチスク。「私たちすぐに40歳になる。今更なんで苦労を買って出るのよ。」「50前じゃなくてよかった。」「性悪女!」
「ねえチスク。私の20代、30代はあんたがいなかったらかなりつらいはずだった。」「あんたにたくさんヘマを尻ぬぐいしてもらったでしょ。(チスク)」「上司だからしたんじゃないわ。親友だから。あんたのおかげで出来る事が多かった。私があんたをお世話した事よりあんたが私を助けてくれた事のほうがよっぽどたくさんあるの。」「同じ会社にはいないけどあんたはこれからも友達。ベストブレンドだから。(ヨンウン)」
オフィスに戻るとなぜ自分たちを誘ってくれないのかと詰め寄るスヨンとチヒョン。どん底から始めてなんの保証もない不安な場所に連れて行けるわけないと答えるヨンウン。「俺さ、ヌナの事小学生から見て来た。ヌナはすごく現実的な人間だ。秘策があるんでしょ?(チヒョン)」微笑んで答えないヨンウン。
応援しなきゃ
ドフンの家。ケーキを食べるチスクとドフン。「到底理解できないわ。レッドカーペットを敷いてくれたんだから適当に歩けばいいのに。」「心配してあげるのは誰にでもできます。でも親友なんだから応援してあげないと。」「そうね。ヨンウンに笑われないようSonoを立派にしないと。所でスホさんこの頃どうしてるの?」
スホその後
残業をしてPRビジョンを出ようとするスホをソ代理が待っていた。「私ね。ミスクさんのスホさんやチスクに対する愛情が深すぎて計る事ができないの。私に謝罪する事もさせてくれなかった。」「これからはいい上司と部下の関係でいましょう。」「それとチミンに大きなお姉さんが必要ならいつでも呼んでください。喜んで駆け付けます。ミスクさんに対する罪滅ぼしです。」
自宅で料理に悪戦苦闘するスホ。調味料、手順などミスクのメモがあちこちに貼ってある。部屋に戻るとスホ宛のチミンに対する備忘録メモ。誕生日のプレゼント、思春期の対応、チミンが友達とトラブった時に読ませてあげる本など。
「俺、頑張るから。」
ヨンウンママとの対話
実家でヨンウンママに会社を辞めた事を伝えるヨンウン。「何故?」「母さんと一緒。今まで振り返ってみて辛い事もあったけど幸せだったし生きがいもあった。でも本当にやりたい事をしたいの。」
「有名会社を辞めてごめん。」「そんな所で働けなんて頼んでないわよ」とヨンウンの手を握るママ。(この二人は「太陽の末裔」でも親子やってました。でも普通子供の幸せを思う母親は怒りますよね。)
一方内装に断固反対するヨンウンママ。「こんな無駄な事してないで早く離婚届けにハンコを押して頂戴!」
八方塞がり
ヨンウンは心は晴れやか。でも最初から壁にぶつかる。個人単位のデザインなのでSonoで顔なじみの原料会社も工場もヨンウンの注文を断る。発注数が少ないので全然お金にならないからだ。
残ったSonoのメンバーたちは忙しく働いている。各自のフォトポリオにはヨンウンのアドバイスパッドが貼られている。いびり部長登場。Sonoに特別ボーナスが出たとの知らせを伝えます。「あいつ、せめてボーナス握って出て行けばよかったものを。」
ヨンウンがSonoとつながりのあるすべての業者から注文を断られて八方塞がりと知ったSonoスタッフたちは心配顔。
それぞれの心
ピンポーン。ヨンウンのマンションに片手に高そうなシャンパンを持ったチスク。
「どうしたのよ、急に。」「ミスクなら困ったあんたをほっとかないでしょ。」ヨンウンが出したカップラーメンを肴に高級シャンパンを飲みます。「私、あんたの味方だから。」「あんたは世界で一番力強い味方だわ。」
自宅で細々と一人ごはんを食べるジェグクママ。壁にはスワンとのツーショット写真の横にジェグクとのツーショット写真が飾られている。スワンと同格にグレードアップされました。(自分が生んだ子供ではないにせよ今世の中に自分の家族と呼べるのはジェグク一人。年寄りの寂しさが伝わってきます。前回の「ボーイフレンド」ではソンヘギョをいじめる傲慢な元姑でした。前回の上から目線の残忍で攻撃的な元姑と今回の孤独でさびしくてお金は持っているが不幸せな姑候補。どちらも適役でした。)
机の上にあるスワンの写真を見つめるシンユジョン。「私は今でもあなたが恋しく会いたいのに。。。」(この女性は怖いです。)
黙々とカンバスを描き続けるヨンウン。
「うぁー。たった1か月でこんなたくさん描き上げたんだ。すごいな。」隣にジェグクが座っている。「そうよ。私はモーツァルトなの。」「才能の独り占めはもったいないよ。バイヤーとかセールスとかに見せないと。」「そうね。またファッションショーでもやってみようかな。」「次はパリでどう?」横を振り向くとジェグクはいない。空想で語り掛けてた事を悟ったヨンウンにさみしさがこみあげてくる。
ゴールイン
ドフン宅で手作りパスタを食べているドフンとチスク。「ねえ、ミスターJはヨンウンの便りを聞いたりしないの。」「奴は連絡とかしないタイプの男なんだ。何も言ってこない。そっちはどうですか?」「ヨンウンもさっぱり。ミスターJの話なんて一言もしないわ。私なんか一日電話できなくても胸がはりさけそうなのに。」「胸が痛かったんですか?」「それで私わかったの。私ドフンさんを心から愛していると。」「今なんておっしゃいました?」「だから心から愛してるって。」
ドフンはチスクにキスして抱き上げそのままベッドに行きます。
転機
いつものように黙々とデザインを描くヨンウン。ピンポーン。チヒョンとスヨンです。
「私たちを雇ってください。」「先行きが不透明だからだめといったでしょ。」「私たちがだめだからという理由ではありませんでした。私チーム長から習いたいんです。もう辞表も出しました。お願いします。(スヨン)」チヒョンの肩を突っついてせかすスヨン。「俺はヌナに投資する。株の配分とかいらない。その代わり俺たちになんかポジションを与えてくれよ。ヌナは代表。俺は営業本部長、スヨンはデザインチーム長とか。」「これでいいだろ?」スヨンにささやくチヒョン。「まだ投資額を聞いてないわ。(スヨン)」
チヒョンに業者から電話。「わかった。」チヒョンが手を回してちっぽけな事務所の間借りを手配済み。3人は新オフィスに移動して陳列服を並べ、机やマネキンを配置しながら事務所内を整理整頓。
「チスクが大変なの!」居酒屋のママから電話。居酒屋に行ってみるとナリ、ソンジュ、いびり部長、デザインパクリ女、ヨンウンの注文を断った原料業者、チスク、ドフンが待っていた。ヨンウンの送別会兼応援するサプライズパーティーです。
「大体1回で服地1,000ヤードは注文してもらわないとね。50ヤードなんてとても商売にならん。」「今日はヨンウンを応援する集まりでしょ!」「わかったよ。引き受けるよ。50ヤードでも30ヤードでも」と答える原料業者。「最高の素材を用意する。」「私はたとえ1~2着でも徹夜してこさえてあげるから。工場は心配しなくていいわよ。(デザインパクリ女)」
「私本当はすごく苦しかったんです。従業員も二人抱えて。謹んでお頼み申し上げます。」涙してよろこぶヨンウン。
居酒屋の外に出るヨンウンをチスクが追っかけてきます。「これ高かったんだから。」「こんな事しなくてもいいのに。」「早く開けなさいよ」幽霊のミスクが出てきてそう言います。中身は時計。これからあなたの新しい時間がすすむのと言うチスク。「私たちの歳でプレゼントならこれくらいの物じゃないとね。(ミスク)」
初雪。夜空を見上げる三人。
パリのジェグク
パリのジェグク。部屋でインスタントラーメンを食べている。生卵トッピング派だったがヨンウンがとじ卵派だったので今はとじ卵にしている。
山の麓を歩くジェグク。ヨーロッパのアルプスを撮りまくっている。街並みを歩くジェグク。パリの美しい街並みも撮影し続けている。
ファッション雑誌を読んでいるヨンウン。ページを開くとジェグクと彼の作品が紹介されていた。掲載されている写真は彼女がジェグクの写真を買ったアーティストストリート。
同時刻アーティストストリートを歩くジェグク。「お前に会いたい。お前が前に言ったように偶然お前にあったら俺もお前も離れない。」偶然を期待してあたりを見回してもヨンウンはいない。苦笑いします。
部屋に戻るとヨーロッパ各地から仕事の依頼の留守電がいっぱい。続けて一本の電話。電話主が留守電にメッセージを残そうとする。「こんにちは。ユンジェグクさん。私は韓国のファッションデザイナーたちを集めたショーを主催するクァクと申します。」
慌てて受話器を取るジェグク。「はい。私本人です。」忙しくメモを取ります。
お出迎え
「せっかくはるばるやって来たお前を家に泊めてあげたいがそうもいかない。実は同居人がいてね。(運転するドフン)」「!!!」「結婚したの!何も言わないなんて冷たいじゃないか。(ジェグク)」「結婚はしてない。同棲中だ。」
そこにナリから電話。「Sonoの準備状況はどうなってますか?」スホが担当してうまくやるので心配ないと答えるドフン。耳を澄まして会話を聞いているジェグク。
「ハチーム長は個人ブランドを立ち上げた。もう2年経つ。(ドフン)」「うん。(ジェグク)」
チスクパパ頭を抱える
「それだけ?それ以上ミスターJに何も言わなかったの?ヨンウンが今どこで何をしているか何故詳しく教えなかったの?」「別れると決めたのは二人です。だから二人がどうなるかは二人にまかせます。それより僕たちは僕たちの事を」ベッドの上でチスクに抱きつこうとするドフン。朝っぱらかなにしてるんだとはしゃぐチスク。そこにチスクパパからテレビ電話。「二人ともすぐ会長室に来なさい!」
会長室。「すぐに結婚式を挙げろ!」「まずは一緒に暮らしてみて。それでよかったら結婚するわ。(チスク)」「君の考えもそうか?」「結婚とは違う人間二人が一緒に暮らしていく事ですので相違点を克服する期間も必要だと思います。(ドフン)」「人がどう見ると思う?(チスクパパ)」「そんなの関係ないわ。」「結婚は男女二人がするものなので第三者の介入は必要ありません。(ドフン)」
チスクパパは頭を抱えます。
定年離婚その後
実家の天井に釣り下がる照明の電灯を脚立はしごに乗って取り換えるヨンウンパパ。「業者呼べば済む事じゃない。わざわざこんな事しなくても。(ヨンウンママ)」「そんな事したら金かかるじゃないか。私はここまで歩いて10分の所にいる。それにお前は誰よりも暗闇を怖がるだろ。」
「ごはん食べた?」「ああ。作り置きがあるから心配いらない。」「これ持って行って。作りすぎちゃった。腐ったらもったいないし。」「余りものなら喜んで受け取る。これで2~3日おかずの心配しなくていい。」
「私ね、多くの事は望んでなかったの。ただ時々私の事を思ってくれたり、心配してくれたり。それだけでよかった。」
最終章釜山
ヨンウンとよく散歩した公園を夜一人で歩くジェグク。そこにファッションショー開催者から明日から釜山で開かれるK-ファッションウィーク参加確認電話。「それでは明日釜山にてお待ち申し上げます。」ヨンウンは公園のどこにもいない。
「早く早く!」チミンがスホをせかします。チミンは絵のコンクールで賞を取ったのをミスクの墓前に報告したくてしょうがありません。
車で釜山の湾岸を走るチヒョンとスヨン。「自分のデザインが評価されて釜山に呼ばれた事うれしいか?」「ええ。最高。」二人は車の中で手をつないでいます。
釜山についたジェグクはヨンウンも招待されているのではないかと期待して街中を歩き回り血眼になって道行く女性達の顔や後ろ姿をチェックします。
夕暮れまで歩きっぱなしのジェグク。もしお前と再会した時に風が吹いていればいい。俺の心がお前に届くように。
夕日が差し込む中湾岸鉄道高架線下でジェグクはヨンウンを見つけます。視線を合わす二人。
「ヨンウンさん!」「ジェグクさん!」
しばらく微笑みあう二人。
「お元気でしたか?(ヨンウン)」
「うん。」
「展示会の写真見ました。雑誌を通してだけど。かっこよかった。」
「どう過ごしてるの?(ジェグク)」
チヒョン、スヨンとのやりとりを思い出すヨンウン。
「ハ代表。ブランド名決まりましたか?(スヨン)」「俺とっておきのブランド名を準備した。(チヒョン)」「もう用意してあるわ。(ヨンウン)」「何て名前?(チヒョン)」「ファよ。恩返しという意味。」
ヨンウン心の声。
いつまでも微笑みあう二人。
「今、別れの途中です」ドラマ 全体の感想
何かはっきりしないエンディングとなりました。これからの二人の行方は視聴者の想像に任せるという事でしょう。
ヨンウンがすぐパリに行く事はないですね。新ブランドはまだ始めたばかりだし二人の従業員を抱えている。成功するまでは動かないでしょう。偶然の再会があれば運命を受け入れると約束した二人。2年ぶりに恋は再開されました。ジェグクがソウルに戻ってくる事は十分ありえます。あるいはパリ―ソウル間の遠距離恋愛にするか。ジェグク次第です。
「今、別れの途中です」は2022年1月よりアマゾンプライムで配給スタート。
よかった所
個人的には脚本の秀逸さを一番に挙げたいです。この脚本家は人間に対する観察力が非情に鋭いです。人間の心の裏側を読んだ考えさせられてしまうセリフ、長く余韻が残る味わい深いセリフが毎回ちりばめられていました。
ビジュアルが美しいです。前回の「ボーイフレンド」でもそうですが映画のような美しい画像を堪能できます。
女性三人の友情と絆がまぶしかったです。チスクとミスクの出会いや別れを深く丁寧に描く事によりドラマを幅が広く奥行きのある物に仕立てました。チスクとミスクをヨンウンと並ぶ主人公格にしたからこそ飽きずに最後まで楽しく見れました。
韓ドラは特に演技力が高い事で知られていますがその中でも個人的にはジェグクママを演じたチャファヨンさんの演技がよかったです。出番もセリフも少ないですが演技を見ているだけで人間の悲哀、寂しさ、孤独さがひしひしと伝わってきました。
工夫してもらいたかった点
演出が少し雑に見えました。ジェグクが何故ヨンウンのポートフォリオを持っていたのかの描写がありません。省いてはならないポイントでしょう。エンディングを盛り上げてもうちょっとドラマチックに演出できたと思います。最後はちょっと期待外れ。それとヨンウンの独り言や心の中の声乱発です。最も効果的な場面のために取っておくべきだったと私は思ってしまいます。それとヨンウンがジェグクを好きになる過程をもう少し丁寧に描いてほしかったです。
ヨンウンパパとママのカットが結構多かったです。定年離婚というテーマもあっていいと思いますがドラマ全体を輝かせる貢献度がチスクやミスクのエピソードに比べすごく劣ります。シンユジョンの心の葛藤を丁寧に描いたり、あるいはデパート側から見たアパレル産業という部分を代わりに掘り下げて伝えてくれてもよかったと感じてしまいます。
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