MENU

朝鮮王列伝‐この人から見るとチャングムは悪党?第12代王仁宗

目次

朝鮮王列伝‐この人から見るとチャングムは悪党?第12代王仁宗

神童と呼ばれる

第12代王仁宗は燕山君のクーデターで棚ぼた王様になった中宗二番目の妃チャンギョン王后の嫡男としてうまれる。(中宗最初の正妻シン氏は父親がクーデターに参加しなかったという理由で廃位させられてしまいます。)チャンギョン王后は体が弱く最初に姫、次に仁宗を生んですぐ他界します。

母親がなく寂しい幼少時代を寂しくすごしますが彼が神童だという噂がたちます。彼が3歳(満2歳)で千字文をすらすら暗唱できたというのです。はなからその噂を信じていなかった中宗は億命(仁宗の幼名)を呼びつけ、チェックしたところ彼が千字文を一句一文字すべて暗記している事を確認。単に最初から最後まで千字文を諳んじさせるだけでなく、中間からスタートさせたり、漢字の意味をひとつつまみ出して意味説明をさせたりしますが、億命は課題をすべてパスします。

福童が生まれたと国中大騒ぎです。

聖君になるとささやかれる人柄

億命にはトップの学者たちがつけられマンツーマンのスパルタ教育がスタート。彼は6歳という異例ともいえる早い歳で世子(世継ぎ)に指定されます。

李朝実録に彼は品行方正、礼儀正しく、非の打ちどころのない人柄を賛美する言葉がたくさん残っています。世宗大王、正祖王(イサン)と並び聖君になっていたであろうと指摘する学者は少なくないです。

億命がちやほやされるのを面白くなく思っている人がいます。中宗との間に青年となった王子を息子に持つキョンビン朴氏という側室です。彼女は自分の息子パクソン君を王位につかせるため、中宗3番目の正妻であるムンジョン王后を引きこみます。

朝廷は正統性を持つ神童億命につくか、政治感覚が飛びぬけて鋭く野望を持つムンジョンとキョンビン朴氏につくかで別れます。「チャングムの誓い」で見るとチャングムとヨンセンたちが水刺館で料理修行をしていた頃。

すると焼死したたねずみが東宮館(世子が住む所)に投げ込まれる事件が発生。キョンビン朴氏とパクソン君が主犯にされ流配。流刑地で毒を飲まされ死にます。あとで判明するのですがこれは億命派である億命の姉を嫁に迎えた一族が仕掛けた罠。毒を持って毒を制しました。

18年目の大事件

19歳になった世子億命。彼の将来は順風満帆に見えます。ここで大事件発生。今までずーっと身ごもらなかった第三の正妻ムンジョン王后が初めて身ごもり男子を生みます。後の明宗です。以前中宗は38年の間何もしなかったと書きましたが、朝鮮史にとっては唯一最大の余計な事をしでかしました。

億命は18歳年下の異母弟をすごく可愛がります。彼は十数年間一日も欠かさぬ日課として義母であるムンジョンに挨拶に行くのですが明宗誕生以降ムンジョンは億命を猜疑心の目でにらみつけるようになったと言われています。「世子は私と異母弟が死ねばいいと思っているのであろう」と言ったとか。

東宮館の大火事

億命が住む東宮館で大火事が発生しました(歴史的事実)。

真相は不明ですがこれは当時語り草になっている話です。

火事でも逃げようとしない億命。内官や女官たちがせかしたところ億命は「母親が自分の死を望むのに自分が熱いからと逃げ出せばされは不義になる。だからここに残る。」しかし駆け付けた中宗が「世子!わが息子よ!」と叫ぶ声を聴いて父親の声を無視すれば孝道に劣るとしてようやくそこから脱出した。

億命の人柄をしのんで作り出されたエピソードだと思われます。

拒食症

億命30歳。中宗が死去し仁宗になります。この時彼は悲嘆にくれてわかめ以外口にする事ができない体になってしまいます。

彼のお風呂を世話をするムスリ(下女)たちが骨と皮だけになった体に驚くのを見て仁宗は「こんな体になってしまった」と話したとする記録が残っています。

そんな体にも関わらず仁宗は毎日の日課である義母ムンジョンへのご機嫌伺いを続けます。

するとムンジョンは「殺すならさっさと殺せ」となじったと言われます。「何故そんなひどい事を言われるのですか?」と悲しむ仁宗。

史上最短王位期間

30歳になって王様になった仁宗はその8か月後になくなります。朝鮮王朝史上最短王位期間です。死因はムンジョンによる毒殺と言われています。

いつも不機嫌なムンジョンがニコニコして仁宗の前に現れます。そして5個の多彩な毒入り餅を渡し、それを食べた仁宗が死にます。拒食症を病む仁宗をさらに追い詰めて死なせたとの見方もあります。いずれにせよムンジョンが殺したと見て差し支えないでしょう。

ムンジョンは王様であっても息子の明宗が気にくわない事をすればふくらはぎをムチで叩いたと言われています。中宗なき後はやりたい放題の人生でした。ムンジョンの暴政については明宗編で紹介いたします。

仁宗は8か月の任期中父親中宗が改革に登用して途中見捨てたチョグァンジョとその仲間たちの名誉を復帰させます。彼の死を嘆き儒教生はもちろんの事大勢の民が嘆いたそうです。

チャングムが悪でチェ尚宮が善?

仁宗のポジションから見たドラマ「チャングムの誓い」の人間関係を整理します。

世子億命を擁護する筆頭はおばあさまの大妃、オギョモ、チョ堤調尚宮を筆頭とするチェ一族。第48話で自分の悪事を暴露され窮地に立たされたオギョモは救いを求めて世子億命に会いに行きますが、面会させてもらえないシーンが出てきます。

一方ムンジョン王妃の配下は左讚成を筆頭にミンジョンホ、チャングム、そしてチャングムの味方たちです。

第49話でムンジョンはチャングムに世子億命に毒を持って殺せと命令しますがチャングムは拒否します。しかしチャングムがその生涯でやった事は王様の病気を治し、彼女を選んで治療させたムンジョンの地位を絶対的なものに押し上げた事(ミンジョンホはもしチャングムが治療を成功させればムンジョンは翼を得るとムンジョンを煽りました。)そしてチャングムは私怨からオギョモとチェ一族の悪事を暴き結果的に億命バックアップ体制をつぶしてしまいます。

仁宗はその人柄からチャングムを恨むような人間ではないでしょうが、仁宗擁護派にとってチャングムは聖君となろうお方をつぶしたにっくき敵にみえるでしょう。(ドラマ「チャングムの誓い」の内容自体は全くのフィクションです。)

仁宗関連ドラマ

「チャングムの誓い」は日本で第二次韓ドラブームを巻き起こした作品。NHKやTBSでも地上波放送されました。この作品ではムンジョンが準主役として力を付けて行く姿も描かれます。2004年のMBCドラマ。

天命」はサボり癖のある医者の話。世子と個人的につながりがある主人公はムンジョンに世子を殺せと命じられます。主人公チェウォンを演ずるのは「トッケビ」の死神で日本でも人気があるイドンウク。2013年のKBSドラマ。

上記2作品は3月18日現在U-Nextで放送されている事を確認しました。U-Nextに入会すれば最初の30日間は無料視聴可能です。(入会から最初の30日以内なら無料脱会OK。)

U-NEXT
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次