トングラミは韓国語で丸、まん丸という意味。自閉症の方は角ばった物より丸いものを好む傾向があるとの事。ヨンウが親友トングラミにひっつくのはある意味必然。ドラマ第一話序盤のシーンでちびっこヨンウが眺めているのはクジラのモザイクとその隣にあるまん丸のガラス細工です。ヨンウがのり巻きが好きなのも丸い物好きの属性の一つでしょう。
大人になったヨンウと彼女を捨てた母テスミがヨンウと百貨店でニアミスするシーンでテスミは陳列台に少し曲がって飾られている靴をきちんとまっすぐに直します。曲がったものをまっすぐに直す行動はドラマのあちこちでヨンウにも見られます。演出者は言葉でなく習慣で二人が同じ遺伝子を持っている事を伝えています。変形バージョンですがテスミの息子でヨンウの弟であるチェサンヒョンも何かまじめな話をする前にいつも手に持つルービックキューブの木目をきちんと揃える癖があります。こちらもテスミ、ウヨンウ、チェサンヒョンが親子である事を物語っています。二人の兄弟はベッドからだるそうに起き上がるしぐさがそっくりでキンパ好きという共通点も持ちます。
ヨンウが働いているのはハンパダ法律事務所。テスミが代表を務めているのはテサン。ハンパダのハンはハンソニョンの名字、テサンのテもテスミの名字を取ったもの。しかしハンパダは広い海、テサンには大きな山という意味があります。クジラの秘密を隠してくれる広い海で働くヨンウは水がない大きな山では生きられません。ヨンウがテサンに行かずハンパダに留まったのは必然です。
ドラマ「ウヨンウは天才肌」ではテスミとハンソヒョンが約5分に渡り直接対決する重要シーンがカットされました。
カットされたシーンではハンソヒョンがホテルのロビーでハンパダの大顧客である企業の副会長がテスミに顧問弁護士鞍替えを依頼しているのを目撃します。副会長はテスミが次期法務大臣になると見越してハンパダを見限ったのです。密談後に一人になったテスミにハンソヒョンが近づき、あまり調子に乗って浮かれていると大学時代のスキャンダルという落とし穴に落ちるかもしれないと警告します。「スキャンダルってなんの事?ハンパダの顧客を取った事?それともあんたの男を私が奪って旦那にした事?」
この対話により、テスミがハンソヒョンの元カレを奪った事、ハンソヒョンがハンバダを目の敵にするのは商売相手という単純な理由からでない事もわかります。二人の口調からして二人は大学時代の同級生。そしてドラマの中でこの二人の旧友が面と向かって話し合うツーショットはここしかありません。
何故この部分がカットされたかは大きな謎です。ただ個人的にはこのあとに続くウヨンウの爆弾発言シーンを効果的に見せるためにそうしたのではないかと思われます。
このシーンでテスミが着ている黒いワンピースはウヨンウが「私が誰かわかりますか?」と語りかけた時のと同じもの。それと副会長とのやりとりのあとにテスミは電話で「3時までにはいくから」と伝えています。この相手はウヨンウの面接を担当する人事部チーム長で間違いないでしょう。
ハンソヒョンがほのめかしているスキャンダルはウヨンウだと視聴者はわかってしまいます。するとそれに続く「私が誰かわかりますか?」の本作最大の見せ場の効力が薄れてしまうのでカットしたのではないでしょうか。
「ウヨンウは天才肌」の制作陣が満場一致でウヨンウ役はパクウンビン以外いないという結論に達しなんども固辞するパクウンビンに粘り強く交渉を続けて押し切ったのは有名な話。代役は考えず彼女がうんと言うまで一年も待ったというから並大抵の忍耐力ではありません。ですがこのこだわりがいかに正しかったかは放送後に証明されました。ハリウッドスターたちやイギリスのスターも彼女の演技力を賞賛しています。「どうか日本でのリメイクはやらないでください」というつぶやきがあちこちで見られます。今となってはウヨンウはパクウンビン以外考えられません。
ちなみにウヨンウ以外で制作陣が満場一致でこの人しかいないと決めていたのはパングポン総司令官とトングラミの父親トンドンサムの二人だそうです。
トングラミさんは最初春の日差し役のオーディションを受けたのですがトングラミになりました。
パクウンビンが出演を断り続けた理由は自分の演技を見た自閉症の方々が傷つきやしないかと考えたからです。ですが他の女優の起用を考えず一年以上待ち続けた制作スタッフたちの真摯な態度に感動したパクウンビンは出演を決めます。
そしてパクウンビンが見せたのが究極にかわいい自閉症ヒロイン。しぐさは自閉症そのままなのですがそのしぐさを自閉症の枠jを崩さずに演技で工夫して誰にも可愛くみせてしまう表現です。これなら誰も傷つきません。彼女はまさに演技センスの天才ですね。佐藤健もウヨンウが「めちゃめちゃ可愛い」とコメントしてました。
このドラマ直前に見たのが「ストーブリーグ」の姉御肌パクウンビンでしたので彼女の演技幅にはつくづく感心させられます。
「ウヨンウ弁護士は天才肌」の初回放送日は2022年6月29日で視聴率は全国区平均0.498%。1%にも届きません。このドラマが全く期待されていなかった事がわかります。それが第5回放送日(2022年7月13日)には9%越え、第9回放送日(7月27日)には15.78%、第16回最終話(8月18日)には17.53%を記録。ものすごい勢いで上がりました。流れはとまらず放映終了直後にはNetflixで一番見られている人気ドラマ1位も獲得。
「ウヨンウ弁護士は天才肌」の制作会社AStory代表イサンベクは最終話前日の2022年8月17日にシーズン2を2年後の2024年までに制作し、キャスト・スタッフも9割以上同じにすると発表しました。この発表に対しイジュノ役のカンテオやトングラミ役のハンミョンウンを含む多くのキャストやスタッフが歓迎の声を上げています。
しかし肝心のパクウンビンは否定的です。彼女は新聞社とのインタビューでシーズン2制作の話はニュースを通して知り、まだ正式オファーは受けていないと話します。そしてシーズン2の実現性について「難しい」と答えます。
パクウンビンは本ドラマの最後のシーンを大切な宝箱にしまい込んだと話し、宝箱から引き出すのは最初の決意以上の決心が必要となると言います。
パクウンビン以外ウヨンウは考えられないのでシーズン2制作発表は勇み足です。
- 「ウヨンウ弁護士は天才肌」の出演者たちが参加したバラエティ番組でパクウンビンは理想の男性のイメージを聞かれ上司のチョン弁護士(カンギヨン)と答え恋人役イジュノを演じたカンテオをいじけさせた事がある。
- 春の日差しの部分を話している時にパクウンビン自身が泣きそうになったとの事。この二人はこのドラマを通じてプライベートの友人になったとの事。
- 本ドラマにでてくる事件はそのほとんどが実例をベースにしている。それと3人の韓国弁護士が書いた本を参考にしており、3人の弁護士の名前はエンディングのクレジットに出てくる。
- 「ウヨンウ弁護士は天才肌」の放送は2021年を予定。しかしパクウンビンが出演を拒否していたため彼女が承諾するまで撮影開始を遅らせた。
- 「ウヨンウ弁護士は天才肌」の総製作費は約150億ウォン。
- パクウンビンは撮影中の食事は一人車の中でした。コロナにかかって撮影に影響を出さないため。
ウヨンウロスの方々へは映画「無垢なる証人」をおすすめいたします。脚本家はウヨンウと同じムンジウォン。弁護士志望の自閉症の15歳の少女と弁護士の心の絆を描いております。弁護士役に「私の頭の中の消しゴム」のチョンウソン。映画は興行的にも大ヒット。ウンジウォン自身ウヨンウがこの映画に続く作品であるとコメントしています。Unextなどで視聴できます。
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