かつてはドラマ王国ともてはやされた地上波MBC。しかしこの1年はどん底をさまよいTVNのような有料ケーブル局にもドラマ部門で大きく差を開けられた状況。背水の陣で臨んだのが2021年9月から始まった「黒い太陽」です。
このドラマを成功させるためにMBC局は平日夜のドラマ枠を全部取っ払い金曜土曜という新たなドラマ枠をつくりそこにこの作品を注ぎ込みました。この番組の広告宣伝は番組スタートの2か月前という異例の早さ。主人公は「ストーブリーグ」(2019/SBS)、「昼と夜 」 (2020/tvN)と立て続けにヒットを飛ばした今最もホットな俳優の一人ナムグンミン。
ストーリーは裏切りで部下を失った諜報チームリーダーの復讐劇。物語の展開はマットデイモンの「ボーンシリーズ、格闘シーンはデンゼルワシントンの「イコライザー」になんとなく似ています。全12話。制作費は約15億円。
韓ドラ「黒い太陽」全話あらすじと感想
あらすじ
密航船
深夜不審な船。船上で船員たちがゴシゴシ血を洗っています。ひとりが言います。「ちっちゃなガキを連れてこい」こいつらは密航船といつわって人々を集め船内で殺してその臓器を売りさばく悪党ども。
船底では髭もじゃの男がぶるぶる震えています。それを心配した小さな女の子がマフラーを差し出します。船員たちが降りてきます。父親から女の子を強引に引きはがし抵抗する父親をボコボコにします。もじゃもじゃ男が立ち上がって女の子を強引に取り戻します。船員たちはナイフや斧で彼を殺そうとしますが逆に皆殺しにされます。
現場に急行する湾岸警察警備艇。不審船に乗り込むと血だらけの死体がいくつか転がっています。
悪党の生存者が一名。「助けてくれー」と叫びます。彼の叫びむなしく奥に引っぱられて首を刈られてしまいます。警備隊が奥に進むと血だらけになった髭もじゃの男が立っています。
「身分を明かせ!」髭もじゃ男は8桁の数字を言います。コードネームです。船底に閉じ込められた人達は他の船に安全に移送されたと報告されました。
死人が戻って来た
髭もじゃ男を移送する警察車両。黒塗り車3台に強引に止められます。一人の男が身分証明賞を見せて髭もじゃ男をチェックします。「おまえは!」
髭もじゃ男の名前はハンジヒョク。国家情報院海外情報局傘下にある黒陽チームのチーム長です。1年前に彼と彼のチームメンバー2名は中国と北朝鮮の国境地帯で全員殉死した事になっています。
彼の予期せぬ帰還で 国家情報院幹部たちの緊急会議が開かれました。 国家情報院海外情報局局長カンピロが集まった幹部たちにハンジヒョクが率いるチームの概要を説明しています。 黒陽は邦人が海外で不条理に殺された場合その加害者を見つけ出して暗殺するのが主な任務の単独行動武装チーム。
「まるでキリストだな。死人が生き返った。」髭もじゃ男のビデオを見ながら 国家情報院院長パンヨンチャンがはコメントします。ハンジヒョクの生還を喜んでないように見えます。
すこし時間をいただければ全容を解明すると発言するのは国家情報院海外部第2次長であるトジンスク。彼女の発言中ひそひそ話をするのは 国家情報院国内部第1次長 イイナン。(院長、次長を演じる役者たち3人はラスボス、中ボスの常連です。このシーンはハンジヒョク最大の敵のお披露目会なのかもしれません。)
身体検査結果
ハンジヒョクの健康診断をした結果彼が長期にわたり拷問を受けた痕跡が残っていて、血液からは十数種類の神経科学物質が検出された。投与された薬物の中に記憶を失わせるZIPという成分が見つかった。つまり誰かがくりかえしZIPを投与したことによりハンジヒョクの記憶を意図的に消し去った。失踪する直前から今までの約1年間の記憶がまったく残っていない状態。
ハンジヒョクキレる
場所は取調室。取締官がジヒョクにうそ発見器を取り付けて自分の名前から他のスパイ機関との接触まで長々と質問責めします。
「これが死地から戻って来た人間に対する待遇ですか?今質問すべき人間はそちらではなくこちらです。そこの人たち。裏で隠れてないで出てきなさい。」ジヒョクが怒り出して体に絡みついたうそ発見器のコードをはがして机をひっくり返します。
1年前
時は1年前。場所は北朝鮮との国境の町中国丹東。
エレベーターに乗っている2名の中国人とジヒョク。彼らの顔を確認し瞬時に拳銃で殺します。報復作戦です。ジヒョクと部下2名は倉庫の中にある大量の麻薬にガソリンをまいて火を点けます。
ミッションコンプリート後に秘密のアジトでくつろぐ3人。ドアをノックする音がかすかに聞こえる。緊張する3人。
催眠療法
入り口に行くとドアはロックされアジトに閉じ込められた状態。
「今何がみえますか?」ジヒョクの前は真っ暗闇。
「1,2,3.パチン」
今は催眠療養中です。医者がジヒョクの記憶を引き出したのはここまで。
目が覚めたジヒョクは暴れ出します。自己コントロールが聞かずペンを握って自分の首に突き刺そうとします。ジヒョクの自殺行為を自分の手のひらを犠牲にして食い止めた国家情報院海外情報局局長カンピロ 。
カンピロは 海外部第2次長トジンスク にジヒョクの拘束が解かれ自由になると告げる。「時限爆弾を外に放り出すようなものじゃない」と拒否反応を示すが「上ですでに決めた事で自分ではどうにもならない」とカンピロは答えます。
結局ジヒョクは 国家情報院犯罪情報統合センター 傘下の現場支援チーム に臨時配属されます。
モールス信号
1年ぶりに住処のマンションに戻るジヒョク。同じエレベーターに乗って同じ階に降りた男性にも警戒心むき出し。彼の精神状態はまだまだ日常とはかけ離れています。
バスルームに入って鏡で自分につけられた無数の傷をひとつひとつチェック。悲しいのはどこでどうやって傷がつけられたか思い出せない事。
深夜反対側の建物から光がチカチカ点滅している事に気付きます。モールス信号です。解読すると「082581」になりました。最初にドアを開けた時に挟まれていたMマートのチラシを思い出します。場所はMマート、08はロッカー番号、2581は暗証番号と解釈。
自分から自分へのメッセージ
翌日Mマートで預かり品を回収。中にはUSBが入っていた。USBの中に入った動画ファイルを再生。すると自分が出て来た。記憶を失う前のハンジヒョクで記憶を失ったハンジヒョクに充てたメッセージである。
「一度しか言わん。よく聞け。1年間薬物を投入し続けたのは俺自身だ。」「組織内に裏切者がいる。俺はそいつを見つけるために自分で記憶を消したんだ。」
感想
第一話は最初から最後までサスペンス映画のような緊張感を保ちます。意表をつく展開、豪快な格闘アクションシーン。次が気になる作品でした。
この作品は視聴者の好みがはっきりわかれますね。刺激的な暴力描写が多いので子供や高齢者には向かないと思います。そして女性も好き嫌いがはっきり分かれると推測されます。特に好みそうなのは20代から50代の男性層。背水の陣で何故視聴者が分かれそうな作品を打ち出したかは疑問に残ります。視聴率は1回から4回まで8~9%とまあまあ。ただ裏番組の「ワンザウーマン」に第三回目以降負けています。だからと言ってこの作品の完成度が低いというわけではありません。序盤を見る限り十分面白くよくできた作品だと思います。
主役のナムグンミンはこの作品のイメージに合わせて体重を10キロ増量したそうです。
ファヤン派
韓国のアイドルスターが歩道に歩いていて車ではねられで死んだ。事故当時彼は麻薬服用のハイ状態だった。
マスコミが大騒ぎする中彼に麻薬を提供したのはユン社長なる男である事が判明した。しかしユン社長当人はリンチを受けてドラム缶の中に押し込められていた。彼を襲ったのは中国から来た進出してきたファヤン派。チンピラたちがユン社長を殴る蹴るでさんざん痛めつけた後にファヤン派No.2のチャングゥアンチョルが現れてユン社長にとどめを刺す。ユン社長が殺された倉庫には船上から運び込まれた大量の麻薬袋が積み上げられていた。韓国での麻薬販売ルートを独占するともりのようです。
最後のピース
自分のビデオを思い出すハンジヒョク。ビデオのジヒョクは今彼が持っている知識や情報を教えないと話します。人を色眼鏡で見てしまうのでかえって進展の邪魔になるという理由です。現在のハンジヒョクがすべきことはパズルの最後のピースを探す事だと意味深な言葉を投げます。失った記憶の回復、国家情報院の中にいる裏切者の割だし、最後のパズルピースとなる人物探しが目下の課題となります。
ハンジヒョクは黒曜チームを陥れる事が可能であるポジションの4人の人物の写真を壁に張り付けて行きます。国家情報院犯罪情報統合センター第4チーム長ソスヨン、国家情報院海外情報局局長カンピロ、国家情報院海外部第2次長トジョンスク、国家情報院犯罪情報統合センター 第一チーム長ハドンギュン。
「火クマプロジェクト」
ハンジヒョクは同僚のチョンミョンギから1年前に自分が記憶を失う事になった中国₋北朝鮮国境地帯のミッションに関する資料を入手し、丹念に読み返します。そしてファヤン派を追及しているキムドンファン課長との会話を思い出します。ファヤン派は北朝鮮と中国の国境地帯で暗躍するかなり危ない麻薬組織。しかしキム課長はファヤン派の後ろに控える巨大な組織の存在まですでに突き止めていた。
それから間もなく潜入先でキム課長と彼の部下2名が死体で発見されます。黒陽チームが招集され事件解明と復讐措置のミッションが与えられます。この作戦はキム課長のコードネーム 火のクマ にちなんで 「火クマプロジェクト」 と命名されました。
パズルの男
国境地帯に派遣されたジヒョクはまずキム課長の内通者イチュンギルと接触します。汚い店で中華料理を食べている男。「おまえイチュンギルだな。」警戒する男。
「今はファヤン派でめきめき頭角を現していると聞いている。」ジヒョクはそう言いいながらポケットからキム課長の遺品で彼が生前大事にしていたZippoのライターを見せます。
キム課長のライターでジヒョクを信じたチュンギルは黒陽チームに協力してファヤン派の裏情報をどんどん流します。国陽チームはエレベーターで二人のファヤン派中国人を暗殺し、ファヤン派の麻薬倉庫に火を点けます。国陽チーム三人がくつろいでいるとノックの音。ドアを開けます。誰かがいます。ですがそれ以上ジヒョクは思い出せません。
チャングゥアンチョルの拘束
第一チーム長ハドンギュン は交通事故で死んだアイドルに麻薬を売りつけていたユン社長に前から目を付けていた。彼を追う過程で監視カメラに写っていたファヤン派のNo.2 チャングゥアンチョルを発見。韓国の中華街に潜んでいる彼を警察総動員で逮捕します。
しかしその直後警察署に不審な電話がかかってきます。「今すぐチャングゥアンチョルを釈放してください。さもなくば毎日警察官がひとりづつ死にます。」電話しているのは殺されると脅されている警察官本人のようです。
それから3日間毎日警察官がひとりづつ無惨な方法で殺されていきます。
ジヒョク、呼ばれる
チャングゥアンチョル関連警察官連続殺人事件で頭を痛める 第2次長トジョンスクはファヤン派に詳しいハンジヒョクを呼びます。チャングゥアンチョルの写真を見せるとジヒョクは彼の裏情報をすらすらしゃべります。
ファヤン派がここまでやるのは大きな利権が絡んでいるかファヤン派頭目であるファンモスルの秘密と関係するか二つに一つだとジヒョクは言います。
まずはチャングゥアンチョルが持っている情報を引き出す事が先決でそれを知ってこそ対策を講じる事ができると続けます。
尋問
チャングゥアンチョルの取調室に入るジヒョク。警察官たちに責任は自分が取るので監視カメラの電源をすべてオフにし容疑者の手錠を外し、全員外に出るよう指示。
いきなりチャングゥアンチョルの頭を掴んで数回机にたたきつけます。それまで無表情無言を貫き通していたチャングゥアンチョルは相手がハンジヒョクと知りにやりとします。
チャングゥアンチョルのシャツを引き剥がすジヒョク。入れ墨をひとつひとつ調べています。どうやら入れ墨ひとつひとつに犯罪歴を象徴する意味が含まれているようです。「窃盗、暴行、殺人。。。性暴行。相手は男なのか。長い監獄生活で好みが変わったのか。あるいはお前が殺した父親に犯られつづけて味をおぼえたのか。」
「てめえ、この野郎」とジヒョクにかかっていきますが逆にボコボコにされます。
「オオカミは腹を空かせてなくても生き物を殺す時がある。何故だか考えてみるんだな。」チャングゥアンチョルが意味深な言葉をジヒョクに投げかけます。「オオカミはむやみに生き物を殺さない。襲ったのは人間がオオカミの子供を殺したからだ。」
暴走
メールをもらって検死室に移動したジヒョク。そこには警察署に送られてきた警察官のものと思われる切断された手首があった。ナイフで「日痴」と刻まれている。
憤慨したジヒョクは取調室に戻りチャングゥアンチョルの顔に布を覆い水で窒息させる。止めてほしければ地面を叩いて知っている事をすべて話せと脅します。
だが ハドンギュン らが取調室に突入して強引に二人を引き離します。
尋問の前にジヒョクは国家情報院の女医から注意を受けていました。記憶は戻ってなくても怒りの感情は残っていて危険だと。そして過度な憤怒は記憶の事実をも捏造して書き換えてしまう恐れがあると警告していました。
チャングゥアンチョルは苦しそうに息をしながら話します。「俺が何故ここにいるかわからないのか?ハンジヒョクさんよ。お前は死んだも同然だ。」
不法労働者たち
ハドンギュン に拷問の事でこっぴどくしかられるジヒョク。トジョンスク次長にこの捜査から外れるよう自分から申し出ろといいます。ハドンギュンはチャングゥアンチョル逮捕拘束の件をすべて自分の手柄にするためジヒョクを追い出しにかかっている。
チャングゥアンチョル逮捕時の運転手にも話を聞く。殴られたせいで顔が変形している。彼は中国から出稼ぎにきた朝鮮族の労働者。善良そうな顔をしているが目だけは妙にぎらついている。何か思いだしたらここに電話しろとジヒョクはスマホの 番号を教える。
ロビーでは十数名の不法労働者たちが自首しにきていて非常に騒がしい。
ジヒョクは車で家路に向かう。時間は午後11時35分。運転中名前だけのパートナーユジェイから電話をもらい中国麻薬組織メンバーのスマホにジヒョクの写真が保存されていると報告を受ける。不安を覚えたジヒョクは警察署に戻る。
(ジヒョクは記録には残らないが大きなミスをしている。お前は死んだも同然だというチャングゥアンチョルの言葉を聞き逃した事。いきなり十数名の外国人不法労働者が10数名同時に自首してきたこと。二つともこれからなにかおきる前兆です。それと異様にするどい目つきの運転手に疑問を持たなかった事。ジヒョクほど修羅場をくぐった人間なら相手がただものではないくらいわかりそうだが。女医が指摘する憤怒の感情で判断力が鈍っているのかもしれない。)
午前零時
午前零時になると不法外国人労働者たちが全員仲間同士で殴り合いをします。警察署はパニック状態。そこに外部から武装したファヤン派の暴力団メンバーたちが侵入してきて次々と警察官たちを殴って気絶させるか殺していきます。釈放されたチャングゥアンチョルは親分であるファンモスルに大きく頭をさげます。さっきの運転手です。しかしファンモスルはお前の軽いその口が問題だと言ってチャングゥアンチョルの首をナイフで掻き切って殺してしまいます。
カーチェイスの果て
警察署の方向に車を走らせるとトラック1台と黒塗り高級車4台の車とすれ違います。ジヒョクは怪しいと判断し後を追います。ここからはカーチェイスです。華麗なるハンドルさばきで敵の車同士を衝突させたり、車で車を押しつけて道の外に出したり、運転手を拳銃で撃ったり。迫力満点です。ついにファンモスの車に近づき銃口で狙いを定めるともう一台の敵の車が横から体当たりしてスピン。車から降りるジヒョクに数十メートル先にいるファンモスから電話。「ハンジヒョクよ。あんたを探すためにどれだけ苦労したかしれんぞ。近いうちに会おう。」走り去っていく2台の車。
ノックした男
警察署に戻ったジヒョク。警察官と暴力団の死体の修羅場。監視カメラをチェックする。そこにイチュンンギル の顔が。「思い出した。」アジトのドアをノックした人間はイチュンギルだった。
感想
第一回目は登場人物の紹介がメインで第2話から本格的ストーリーが展開。中国マフィアが出てきました。韓国の麻薬市場を奪おうと乗り込んできたのです。ファヤン派と呼ばれる暴力団は朝鮮族の集団。朝鮮系中国人、韓国系中国人と呼ばれます。使う言語は韓国語ですが中国籍を持ちます。ドラマでは北朝鮮から麻薬を仕入れて世界中で闇商売を行っているという設定。
さてスケールがどでかく迫力満点の「黒い太陽」ですが「あれ?」と思わせるシーンがラストにありました。「何故チャングゥアンチョルを殺したのか」です。彼は組織を裏切ったわけではなくハンジヒョクに彼がターゲットにされている理由のヒントを与えたにすぎません。たったそれだけで重職を担う経験豊富なNo.2を殺すのは理解できません。
警察署を襲撃するという前代未聞でハイリスクな作戦をファンモス自身が先頭指揮を取って実行したわけですから。当初チャングァンチョルを救出する作戦だったが路線変更したのか、あるいは他の理由で彼を殺すのが最初からの目的だったのか。これからのストーリーでの追加情報を期待します。 警察署に突入して警官を殺したのですから国家権力との全面対決になります。そこまでして救出したチャングァンチョルを殺すにはそれなりの納得できる理由が必要です。これだけの事をやってのけてまで救ったのに ちょっと態度が気にくわないから殺したというのであれば世界を股にかける犯罪組織の親分は務まりません。
あらすじ
イチュンギルを探せ!
イチュンギルとの1年前の会話を回想するジヒョク。「叔母さんから無事ソウルに到着したと連絡をもらいました。今回の仕事が終われば叔母と静かに暮らすつもりです。」そう言った彼が今ファヤン派の一員としてソウルに現れた。奴は裏切り者なのかどうか考えるジヒョク。いずれにせよ記憶を取り戻すためにも彼に会わなければならない。
パートナー
ユジェイから昨日の写真は分析情報室から入手したとものだと聞かされるジヒョク。「この事を上部に報告するのちょっと待ってもらえないかな?」「嫌です。何も知らされないままリスクを背負いたくありません。」「知りたい事はなんだ?」「何が起こっているのか説明してください。」ジヒョクは彼とファヤン派の関係をブリーフィングする。「もう一つ条件があります。私にお手伝いさせてください。」
ジヒョクが生還後に臨時で配属されたのは 国家情報院犯罪情報統合センター 傘下の支援部 。仕事は他のどこかのチームが手が足りない時にお手伝いする何でも屋でどうでもいい存在。ジヒョクのパートナーに任命されたのがユジェイ。彼女は小学校から大学まで名門校を早期繰り上げ卒業した秀才で国家情報院情報分析室という花形部署でバリバリ働いていたがある日支援部への転属を希望。何か裏がありそうだ。
伝説の男のパートナーに任命され喜ぶユジェイであるがジヒョクは彼女をまったく相手にしないし、相談もしないし、一緒に動く事もない。だが今回がジヒョクの弱みに付け込む事ができたのでようやくお手伝い出来るようになる。
ジヒョクはユジェイにイチュンギルを探すよう指示を与える。
リンウェイ
ファヤン派の情報を得るためにジヒョクが訪ねたのは知人のリンウェイ。中国国家安全部の諜報部員。リンウェイによればファヤン派韓国進出は半年前の中国共産党幹部の息子の麻薬スキャンダルと関係しているという。その幹部の政治的ライバルがファヤン派を使って麻薬を息子に流し罠にはめたもの。しかしこの事がばれてファヤン派は中国国内にいられなくなったので韓国に逃げたのだ。このスキャンダルを考え出したのはペクモサという男。犯罪者の中の犯罪者と呼ばれるが正体は不明。
イチュンギルとの再会
ユジェイはイチュンギルのスマホの発信源をキャッチ。場所は倉庫だった。待ち伏せしているとファヤンメンバーが7、8人やってきた。「一人か?」と凄みを利かすチンピラに「ああ、独身だ」とジョークで返すジヒョク。軽くひねりつぶす。警察への通報と連行はユジェイに任せイチュンギルと話すジヒョク。
「あの日何故アジトに現れた?」「ファンモスルがソニャンに姿を現すとお伝えしました。本当に何も覚えてないんですか?」
ここでアジトドア越し対話の回想シーン。
「ばれました。敵がここにやってきます。すぐに逃げてください。どうやら先生の組織内部に裏切者がいるようです。もう誰も信じられませんね。」
大量出荷
「ところでお前は倉庫で何してたんだ?」「麻薬の国内手配です。ですが次回は史上空前の規模になります。」「緊急電話番号を渡しておいたはずだが俺の失踪中何故連絡しなかった?」 「 先生は何もわかっていない」と言い捨ててイチュンギルは車から降ります。彼の座席に麻薬配達先の宛名札の束が置いてあります。
「何ですかこれ? 」 とジヒョクに聞くユジェイ。「 全国の麻薬配達根拠地だ。 」 「ならこれで麻薬ルートを一網打尽にできますね。 」 「その前にこれを調べて欲しい 」 と宛名の端に書かれているローマ字と数字の記号を指差します。「次の大掛かりな取引と関係しているかもしれない。」
そこにカンピロ局長から電話。
最大の功労者になれる
「お前この頃裏で何やってんだ?」ジヒョクは療養という名目でトジョンスク次長が率いるファヤン派対策チームから脱退しました。「何故ハドンギュンはチャングァンチョルのスマホに入っていたお前の写真を隠そうとしたんだ?」「えっ!」という表情のジヒョク。(国家情報院の幹部たちはジヒョクが単独で動いている事を知っています。ですが彼らの関心はいかにファヤン派問題を解決するかよりはいかにジヒョクがこれから立てるであろう手柄を横取りして自分のものにするかのようです。)
これ使ってください、と言って宛名札の束をカンピロに渡します。これを使えば韓国史上最大の麻薬組織摘発事件となり、カンピロが第一功労者になれると彼の功名心をくすぐります。「少しお時間をください。必ずファンモスルをつかまえます。」
コンテナ
「先輩。わかりました。あれはコンテナの番号です。3時間前に仁川港に到着しています。」ジヒョクとユジェイは港で落ち合う事にします。コンテナの中に入ると入れ墨だらけのおじいさんが一人座っています。麻薬はありません。外で見張りをするユジェイは3台の車が近づいてきていると報告。しかしジヒョクはそのままコンテナの中に居続けます。「ハンジヒョク。そこにいるのは分かってるんだ。出てこい。」外に出ると首にナイフを充てられた血だらけのイチュンギルが立っています。銃を捨てろ!命令に従うジヒョク。ユジェイは物陰に隠れてそのやりとりを見ています。「まんまと罠にはまったな。俺がこいつの事を信用しているとでもおもったのか?」とファンモスルが言います。拳銃で殴ってジヒョクを気絶させ、ホテルの一室に連れて行きます。
拷問
椅子に縄でくくりつけられ座らせられるジヒョク。「血が水より濃いとはよく言ったものだ。時々馬鹿な事をやらかすが俺はあいつの事が嫌いじゃなかった。我が息子の事だ。」
ジヒョクがエレベーターで殺したふたりのファヤン構成員の1人はファンモスルの息子だった。
ファンモスルは電源のコードをジヒョクの口の中に入れてスイッチを入れジヒョクを感電責めします。
ユジェイとの打ち合わせ
ジヒョクは自分がわざとファンモスルに捕まるつもりだと前もってユジェイに知らせていた。ファンモスルの真の目的が何かファヤン派の懐に入って調べるつもりなのだ。「支援を呼ぶタイミングは俺のGPSの信号が消えた時だ。いいか、消えた時だからな。」あきれて物が言えないユジェイ。
ジヒョクの挑発
殴られ続けながらも「ふふっ」と笑いファンモスルを挑発するジヒョク。「お前だって俺と同じ袋のネズミじゃないか。中国には居られなくなるし、韓国では警察に追い回されている。」
お前が強がっていられるのはこれのせいかと言いながらGPS装置を見せるファンモスル。
「強がっているが結局お前は ペクモサに使われたんだろ?」 ファンモスルの顔色が変わります。 「俺のチームの仲間を殺したのもお前じゃなく、ペクモサなはずだ。手口がお前たちのやり方ではない。」
「違う。俺たちがやったんだ!」これを見ろと言いながら奥の部屋のドアを開けます。スタッフたちが麻薬を密造しています。「いいか。俺たちは麻薬精製時に出るあの強い臭みを出さない方法を開発したんだ。だからホテルの中で作っても感づかれない。俺は麻薬業界の革命児だ!」
目の前にコンテナの中にいた入れ墨のおじいさんが立っている。彼の入れ墨は無臭麻薬製造の複雑なレシピを彫り上げたものだったのだ。
そこにペクモサから連絡が入ります。側近を連れて外に出て行きます。別室に連れて行かれたジヒョクは。お腹の中にあるカプセルを吐き出します。ファンモスルが探し出したGPSはベルトに仕込んだ囮で本物はお腹の中にありました。
逆襲開始
ユジェイはGPSの信号が消えるのを確認。支援を呼び自分自身もホテルの中に突入します。
知りたい事を知ったジヒョクは反撃開始です。縛られている縄をほどき銃やナイフで武装した9名ほどのファヤン派構成員をバッタバッタ殺していきます。「24」のジャックバウアー、「イコライザー」のデンゼルワシントン状態です。
部屋にユジェイが突入すると複数の死体が転がっている中イチュンギルに心臓マッサージをするジヒョク。無駄でした。
ユジェイは「大丈夫ですか?」と声をかけます。
(こちら「大丈夫?」と言われた人の顔。笑えます。)
横取り
翌日テレビニュースは警察がソウルに滞在する新種の麻薬を開発する外国人勢力を摘発し、50万人分に相当する麻薬を押収したと速報を流しました。
トジョンスク次長は国家情報院院長に自分の指揮下に実行された作戦が成功したと自慢げに報告します。そして彼女に届いたホテルでのジヒョクの格闘シーンの録画原本を削除します。
感想
今回は首都圏の視聴率が初めて10%を突破した回。全国視聴率は9.8%。話題性ランキングも3位に上昇。今まで韓国ドラマで見た事がないほど華麗なハリウッドレベルのアクションシーンが光ります。ナムグンミンはかっこよかったです。
韓ドラ「黒い太陽」登場人物
主人公とその周辺
ハンジヒョク
ナムグンミン演じるのはハンジヒョク。ミッションコンプリート率100%の伝説の諜報部員。絶体絶命の時でも動物的反射神経で危機を回避できる男。裏切者の存在を知るまではミッション遂行がすべてと考えていた。国軍情報司令部出身。1年前に失踪するまでは現地単独判断の権限と殺しのライセンスを付与される諜報チーム黒陽のリーダー。
彼の有名なエピソードに3年前のリビア、トリポリ事件がある。身代金目的で拉致誘拐された3人の韓国人労働者。結局公開処刑されます。ハンジヒョクは拉致処刑を行った武装集団リーダーのアブナダルを数か月にわたり追跡しイスタンブール郊外の農場にいる情報をキャッチ。単身乗り込んでアブナダルとその部下を全員抹殺。
ソスヨン(パクハソン)
国家情報院犯罪情報統合センター第4チーム長。ハンジヒョクとは同期。ハンジヒョク失踪時に死んだ部下オギョンソクとは恋仲。ハンジヒョクがリストアップした4人の有力裏切者候補の一人。
ユジェイ(キムジウン)
国家情報院犯罪情報統合センター 傘下の現場支援チームメンバー。そこはハンジヒョクが復帰後飛ばされたチームでハンジェヒョクとパートナーを組む。小学校から大学まで早期繰り越し卒業の秀才。なぜIQが非情に高い彼女が閑職である現場支援チーム にいるのかは不明。ただ彼女にはなんらかの秘密と目的があるようだ。全然相手にしないハンジヒョクになんとかパートナーに認めてもらうようあれこれ手を尽くす。
国家情報院の人たち
カンピロ(キムジョンテ)
国家情報院海外情報局局長 。ハンジヒョクを国軍情報司令部から国家情報院に連れて来たのはこの人。若い頃はイケイケの武闘派だったが今は丸く収まっている。いつもジヒョクを気にかけ心配している。ジヒョクにとっては唯一心を置ける存在であるが容疑者リストからは外していない。
トジョンスク(チャンヨンナム)
国家情報院海外部第2次長。国家情報院初の女性次長でもある。 ハンジヒョクがリストアップした4人の有力裏切者候補の一人。 20数年前に外交安保機関から転属。以降国家情報院一筋。見えない敵も先に蹴散らすべきという攻撃的な性格。イスラエルのモサドのような「小さくても強い情報機関」を理想とする。
パンヨンチャン (キムビョンギ)
国家情報院院長。政治と手柄をすべてにおいて優先させる人間。
イイナン(イギョンウォン)
国家情報院国内部第1次長 。国家情報院の表と裏をすべて知りつくす男。ラスボスの匂いがぷんぷんする男。
ハドンギュン(キムドヒョン)
国家情報院犯罪情報統合センター 第一チーム長。ハンジヒョクの上司にあたるが二人の関係はぎくしゃくしている。シリアで共同作戦を準備していたがハドンギュンが娘の手術のため作戦費用をねこばばして作戦が失敗した事があった。 ハンジヒョクがリストアップした4人の有力裏切者候補の一人。
敵対勢力
ファンモスル(ソンノジン)
中国麻薬密売組織ファヤン派の頭目。中国と北朝鮮の国境地帯を中心に暗躍していましたが中国当局の取り締まり強化により活動拠点を韓国国にスイッチしようと考えている。息子をハンジヒョクに殺された事で復讐心に燃えている。
その他
イチュンギル(イジェギュン)
ファヤン派の メンバー。実はジヒョクの情報提供者。ジヒョクが忘れている記憶部分を知っているキーパーソン。
リンウェイ(オクチャヨン)
ジヒョクの知人で中国国家安全部の諜報部員。中国麻薬組織の情報をジヒョクにいろいろ教えてくれる。
韓ドラ「黒い太陽」視聴率と話題性
放映日 | 全国視聴率 | 首都圏視聴率 | 話題性ランキング | ||
第1回 | 2021.09.17. | 7.2% | 8.2% | 5位 | |
第2回 | 2021.09.18. | 8.0% | 8.5% | 5位 | |
第3回 | 2021.09.24. | 9.8% | 10.1% | 3位 | |
第4回 | 2021.09.25. | 8.3% | 8.6% | 3位 | |
第5回 | 2021.10.01. | 9.4 % | 9.8 % | ||
第6回 | 2021.10.02. | 8.6 % | 9.2 % | ||
第7回 | |||||
第8回 | |||||
第9回 | |||||
第10回 | |||||
第11回 | |||||
第12回 |
※視聴率はニールセン調べ
※TV話題性は各ドラマが放映から1週間の間にニュース、ブログ、オンラインコミュニティ、ツイッター、動画などでどれほど反映されたかを指数化してランキング付けするもの。 調査機関はGOODDATA Corps。
韓ドラ「黒い太陽」 秘話、裏話、エピソード
「黒い太陽」を強力にバックアップしたのがOSTの存在。ネット上でその神秘的な歌声に007を連想したと声もあります。歌っているのはOSTヒットメーカーとして有名なヨアリ。第一話で紹介されたReasonは販売当日午後1時に韓国ビルボード73位にランクイン。ドラマの力強い助っ人となりました。
ドラマでは朝鮮族のファヤン派が出てきます。朝鮮族とは本朝鮮半島出身者で日本の朝鮮支配時に満州に移住した人たちの事。彼らの大半は第二次世界大戦後に朝鮮半島の故郷に戻りましたがそのまま満州地域に居残って生活をする選択をした人たちもおりその子孫たちが今の朝鮮族です。国籍は中国ですが言語は韓国語を使います。2021年時点朝鮮族人口は約220万人。彼らは主に北朝鮮と中国の国境地帯にある中国側の吉林省に住みます。寧辺は朝鮮族の自治州として認められております。
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